帝国キネマ

帝國キネマ演藝株式會社の歴史

設立と経緯

帝國キネマ演藝株式會社（通称：帝キネ）は、1920年に大阪で設立されました。設立者は興行師の山川吉太郎で、彼は大阪ミナミの大火災後、南海鉄道社長の要望に応じて娯楽施設「楽天地」を建設します。その後、映画上映のために「天然色活動写真株式会社」を創設し、大阪支社長に就任しました。

その後、1916年には小阪撮影所を設立し、1919年には「天活」を解体。その後、1920年5月に「帝国キネマ演芸株式会社」として改組し、本社を大阪南区日吉橋に設立しました。設立から異なるジャンルの映画制作に注力し、主に時代劇や現代劇で成功を収めました。

撮影所とその運営

帝国キネマは複数の撮影所を運営しました。

1. 小阪撮影所（1920-1929年）：最初は「天然色活動写真小阪撮影所」として開設され、帝国キネマの重要な撮影地となりましたが、1925年に閉鎖されました。
2. 芦屋撮影所（1923-1925年）：新設された撮影所ですが、実際のセット撮影は小阪で行われました。
3. 巣鴨撮影所（1925-1928年）： 東京に設立され、短期間で環境が変化し閉鎖を余儀なくされます。
4. 長瀬撮影所（1928-1930年）：「東洋のハリウッド」と呼ばれる広大な撮影所でしたが、トーキーへの移行などに困難をきたし、経営難からわずか2年で閉鎖されました。
5. 太秦撮影所（1930-1931年）：松竹から譲渡された撮影所を借り受けて運営され、最後の撮影所として存在しました。

作品と影響

帝國キネマは多くの映画を製作し、特に1920年代にはヒットを飛ばしました。特筆すべきは澤蘭子主演の『籠の鳥』で、当作は爆発的な人気を誇り、サウンドトラックも流行しました。映画はその後のプロレタリアート映画に影響を与えました。

終焉と歴史的意義

長瀬撮影所の焼失後、帝国キネマは1931年に「新興キネマ」に改組され、同年の8月に消滅します。山川吉太郎は経営から手を引き、1934年に亡くなります。その後は戦時統合で大映へと移り変わり、重要な映画制作の一端を担います。帝国キネマの歴史は日本の映画産業における重要な一ページとして今に語り継がれています。

まとめ

帝国キネマ演藝株式會社は、戦前の日本映画を代表する製作会社の一つであり、その多様な作品とともに映画産業の発展に貢献しました。映画制作の現場は、当時の社会情勢や文化を反映した多くのエピソードを生み出し、後世へと受け継がれる質の高い映画制作の基盤を築き上げました。彼らの遺した作品は、今日でも映画史を語る上で欠かせない要素といえるでしょう。

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