山部善次郎

山部 善次郎（やまべ ぜんじろう）

山部善次郎、通称山善（YAMAZEN）は、1954年9月25日生まれの福岡県出身の音楽家です。彼は「博多の爆発男」や「和製ジョン・リー・フッカー」とも称され、そのユニークなスタイルで博多の音楽シーンに深く根ざしています。彼の本名は山部洋之ですが、主に音楽活動では山部善次郎名義を使用しています。

経歴

福岡市博多区千代町に生まれ育ち、彼の家族は「有限会社紙ヤマベ」という紙の卸問屋を営んでいました。幼少期から洋楽に触れ、福岡教育大学附属福岡小学校在学中から音楽の魅力に引き込まれていきました。特に中学3年生の時、友人の前でローリング・ストーンズの曲を披露しようとしたことが音楽の道を志すきっかけとなりました。

山部の人生には試練もありました。1970年、6600ボルトの高圧電線に感電して左目と鼻を失ってしまいますが、彼はその後も音楽への情熱を忘れませんでした。1972年にはビートルズやモンキーズに影響を受けてバンドを結成し、博多のライブハウス「照和」で演奏する機会を得ます。バンド「田舎者」としてのステージデビューも果たしました。

その後、九州産業大学に進学し、21歳の頃には山部善次郎としての活動を開始します。彼はバンド「ザ・ドリル」での活動を経て、1978年には「山善&博多パラダイス」としてメジャーデビューの話が持ち上がりますが、録音の出来に納得できず、その機会を断ります。23歳の時には「ザ・ドリル」を解散し、家業の紙問屋を手伝うために愛媛県松山市へ移住しました。この時期、彼は音楽から一時距離を置きました。

家業の仕事を続けながらも、29歳でFMラジオから流れてきたアクシデンツの曲に触発され、再び音楽の道を目指す決意を固めます。30歳で初のシングル「キャデラック」をリリースし、その後も音楽活動に邁進しました。34歳の時にはメジャーのアルバム『山善フォークジャンボリー』を日本コロムビアから発表し、彼の名声はさらに高まりました。

音楽以外にも、彼は39歳から油絵に挑戦し、福岡県立美術館で個展を開くなど、アートシーンにも足を踏み入れています。福岡県展や朝日新聞賞への入賞歴も持ち、芸術家としての側面も評価されています。また、彼の人生の半生は2003年に『JNN九州・沖縄ドキュメント ムーブ』で特集され、多くの人々に彼の魅力を伝えました。

現在も博多に住みながら音楽とアートの世界で活動している山部善次郎。彼の人生とキャリアは、一見波乱万丈でありながら、彼自身が織り成す独自の芸術的なストーリーに満ちています。これからも福岡の音楽シーンを支え続ける存在として、彼の動向から目が離せません。

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