山門寺門の争い

山門寺門の争い

山門寺門の争い（さんもんじもんのあらそい）とは、天台宗内部で発生した派閥の対立及び争いを指します。その背景には、天台宗の分裂が影響しています。具体的には、延暦寺の山門派と園城寺の寺門派という二つの派閥が長年にわたり激しい抗争を繰り広げ、時に深刻な武力衝突にまで発展しました。この争いは、平安時代を中心に多くの歴史的事件を巻き起こしてきました。

経緯

1. 派閥争いの始まり

最澄が822年に入滅した後、天台宗は義真を初代座主として継承しました。しかし、最澄の直弟子たちと義真の弟子たちとの間で対立が生じ、円修が第2世座主に就任します。この時、円修の弟子たちが比叡山を離れ、室生寺へ移ることとなり、これが派閥争いの発端となりました。

その後、円仁と円珍の二人が、それぞれ異なる密教に重きを置き、彼らの学派に力を持つようになります。特に、円珍が第五世座主に就任すると、延暦寺の勢力が拡大し、多くの教職を円珍門徒が占めるようになりました。

2. 良源の登場とその後の展開

10世紀後半、円仁派の良源が第18世座主に就任します。彼は教育を重視し、僧風の刷新を図る一方で、円珍派との対立も深まっていきました。良源派の僧たちは読経会を行わないなどの事態が起こり、最終的には朝廷が介入する事態に発展します。これに対して円珍派は積極的に行動し、双方の衝突が続きました。

3. 武力抗争の激化

11世紀に入り、山門派は寺門派を比叡山から排除するなど、対立が決定的になります。両派の僧兵による武力衝突が繰り返され、特に圧倒的な人数を誇る山門派の僧たちが寺門派の拠点を攻撃するようになります。これに伴い、両派ともに武士の権力争いに巻き込まれ、それぞれが戦国時代のような争いを引き起こしていきました。

中世における抗争

この争いはさらに続き、平安末期には源氏と平氏の争いにも影響を与えます。南北朝の時代には、山門派と寺門派それぞれが異なる武士と結びついて、さらなる衝突を起こしていきました。

1945年の変化

1945年には、歴史的な変革が訪れます。宗教団体法の廃止により、寺門派は円珍を宗祖とし、園城寺を総本山とする天台寺門宗として独立し、現代に至るまで存続しています。

結論

山門寺門の争いは、天台宗の複雑な歴史の中で発生した重要な抗争であり、信仰や権力に関する争いがいかに社会の枠組みに影響を及ぼしてきたかを伝えるエピソードです。宗教的な対立が、いかに広範な社会的動乱を引き起こすかを示す好例となっています。

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