山﨑浩子

山﨑 浩子（やまさき ひろこ）氏は、1960年1月3日生まれの日本の新体操指導者、元選手、タレント、スポーツライターです。身長154cm、血液型はB型。

幼少期から新体操との出会い

鹿児島県出身の山﨑氏は、小学校教師であった父親の転勤に伴い、幼少期に種子島へ転居しました。厳格な父には姉たちが距離を置いていましたが、末っ子であった山﨑氏は父に可愛がられ、甘えて育ちました。教師の子であることからいじめを受けた経験もありますが、母親からは「いじめられる方がいい、人に迷惑だけはかけるな」との教えを受けていました。運動が得意ではなかった山﨑氏ですが、入学した鹿児島純心女子高等学校で新体操の演技に魅せられ、入部を決意します。

競技者としての輝き

高校では、厳格な指導で知られる女性監督の下、年間を通じて休みなく合宿生活を送り、練習でのミスに対する厳しい体罰や叱責にも耐える日々でした。しかし、その監督からの温かい言葉に支えられた大会での団体優勝を機に、厳しい指導の真意を理解し、監督に絶対的な信頼を置くようになります。

1978年に東京女子体育短期大学へ入学後、東京女子体育大学へ編入。大学時代には、全日本新体操選手権大会で1980年から1984年まで個人総合5連覇を達成し、当時の新体操人気を牽引する存在となりました。世界選手権にも数度出場し、国際的な経験を積みます。1983年には実父を亡くすという悲しい出来事も経験しました。

競技生活の集大成として、1984年のロサンゼルスオリンピックに個人総合で出場し、8位入賞を果たしました。この大会を最後に現役を引退しました。

引退後の活動と新体操界への復帰

現役引退後、山﨑氏はタレント活動やスポーツライターとして多岐にわたる活動を展開します。ソウルオリンピックではリポーターを務め、TBSテレビの人気番組『クイズダービー』には約3年間レギュラー解答者として出演しました。

芸能活動がアマチュア規定に触れるため、新体操界への復帰は難しいと見られていましたが、子どもたちを指導する中で新体操スクール設立の意欲が芽生えます。大学時代の友人と共に有限会社を設立し、1988年には体育館所有企業との共同経営で「NSP山崎浩子新体操スクール」を開校しました。

その後、指導者としても新体操界に貢献。アテネオリンピック強化委員会新体操強化副本部長や財団法人日本体操協会理事を歴任。2004年には北京オリンピック委員会新体操強化本部長に就任し、「フェアリージャパン」を率いて日本新体操の再建に尽力しました。JOC新体操強化本部長として指揮を執る一方、強化のために選手・指導者の活動拠点を新体操強国であるロシア・モスクワに移すなど、国際的な視野で育成を進めました。

世界平和統一家庭連合（旧統一教会）との関わりと脱会

山﨑氏の人生において、後に世界平和統一家庭連合（旧統一教会）として知られる団体との関わりは大きな出来事でした。1988年夏、友人を介して団体の関係者と知り合い、自己啓発セミナーを経て教義に傾倒していきます。「人類はサタンの子」といった教えに衝撃を受ける一方、「メシア」の到来を説くメッセージに救いを感じ、創始者・文鮮明氏を信じるようになります。かつて高価な壺の購入が問題になった団体であることや、合同結婚式の写真を見て反感を抱いていたにも関わらず、友人に諭されて受講を続けるうちに「統一原理」にのめり込み、交際していた相手とも別れました。

文鮮明氏の外見に惹かれたわけではありませんでしたが、迫害を受け入れたとされる文氏の姿に、高校時代の厳格ながら信頼できる監督の姿を重ね合わせることで、信仰心を深めていったといいます。真冬の厳しい水行を行ったり、多額の献金を行ったりしました。

1990年以降、韓国訪問などを経て、合同結婚式（祝福）が間近に迫っていることを知ります。かつては献身的な信者のみが受けられた祝福への恐怖を感じながらも、断食に成功するなどして覚悟を固めます。1992年3月には屋久島で一人暮らしをしていた母親が急逝。母の死が、祝福を受ける決意を後押ししました。

同年6月、週刊誌に合同結婚式参加が報じられると記者会見を開き、入信動機などを説明。「文鮮明氏が選ぶ相手ならどんな人物でもいい」と語ったことは教団内で絶賛された一方で、親戚からは猛反対を受けました。同年6月30日には教団から指定された場所で、当時大和証券に勤務していた勅使河原秀行氏を紹介され、その場で結婚を了承しました。

1992年8月25日、ソウルのスタジアムで3万組の新郎新婦と共に合同結婚式に参加しました。しかし、教団に批判的な報道が続いた影響で講演などの仕事が減り、経済的に苦境に陥ります。教団からは入籍を促されましたが、姉の願いもあり、母親の一周忌を過ぎてからと決めました。

姉は妹たちの脱会を願い、1992年9月下旬には日本基督教団の杉本誠牧師に相談を持ちかけます。当初は妹夫婦の脱会を目指しましたが難航し、同年末には山﨑氏の脱会を優先するよう依頼。杉本牧師は1993年2月半ばに脱会説得を引き受ける覚悟を決め、清水与志雄牧師に協力を求めました。

1993年3月、勅使河原氏の両親と姉夫婦が顔を合わせた場で教団への批判が交わされた後、墓の話を持ちかけられ別の場所へ行くことになります。これが教団が「拉致・監禁」と称していた事態だと気づき涙が止まりませんでしたが、逃げてはいけないと考え従いました。連れて行かれたマンションの一室で、杉本牧師と清水牧師による説得が開始されます。

母親の命日を迎えた夜、姉から牧師との繋がりを知らされているかと問われた山﨑氏は黙ってうなずき、翌朝には自ら牧師を呼んでほしいと頼みました。3月15日夕方から牧師との話し合いが始まり、教祖と女性信者の性交渉を指す「血分け」の詳細を聞かされた際には激しく泣き、衝撃を受けました。統一原理がキリスト教とは相容れないこと、文鮮明氏の経歴や教会のルーツに嘘があること、自身がマインドコントロールされていたことに気づき、脱会を決意しました。

1993年4月21日、TBSホールで記者会見を開き、統一教会からの脱会を正式に表明しました。46日ぶりの公の場でした。

脱会後、友人T子も同様に牧師に会って話を聞き脱会を決意しました。山﨑氏は新体操スクールのスタッフや生徒の親からコーチ復帰を歓迎されましたが、職を辞しました。夫となっていた勅使河原氏には牧師に会うよう手紙で願いましたが、願いは叶わず、同年8月に別れを告げました。なお、勅使河原氏は2022年に旧統一教会の会見に「教会改革推進本部本部長」として姿を見せています。

その他の活動

山﨑氏は、新体操に関する著書や、統一教会問題に関する自身の経験を綴った著書などを複数発表しています。また、テレビCMにも出演経験があります。

近年では、2023年10月23日にベストへア2023の60代の部を受賞するなど、幅広く活動しています。

主な著書

『山崎浩子の楽しい新体操』
『失敗という名のレッスン』
『愛が偽りに終わるとき』
『引退―終わらない夢』
『山崎浩子の新ボディ改革 ―新体操エクササイズで体脂肪ダウン！』
『コーディネーション・エクササイズ - スポーツ種目別』（共著）
『センス―スポーツを楽しむには"優れた感性"が必要だ』
『筋トレより軸トレ! 運動のトリセツ』

主なテレビ出演

クイズダービー（TBS）
邦ちゃんのやまだかつてないテレビ（フジテレビ）
ジャンクSPORTS（フジテレビ）
[進め!電波少年]

主なCM

資生堂ミュウ
ブラザーミシン
* メッコール

（注）「統一教会」は、2015年に「世界平和統一家庭連合」に名称を変更しています。

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