岐阜市民の歌

「岐阜市民の歌」は、日本の岐阜県に位置する県庁所在地、岐阜市が制定する市民歌です。この歌の作詞は松野武雄氏が、作曲は兼田敏氏がそれぞれ担当しました。

戦前からの歴史

「岐阜市民の歌」が制定されるまで、岐阜市にはいくつかの市歌や記念歌が存在しました。大正前期（1918年以前）に制作された「岐阜市歌」がその最初期のもので、作詞を落合直文氏、作曲を小山作之助氏が手がけています。その後も、1919年（大正8年）には「岐阜市制三十年の歌」が誕生しました。さらに、1931年（昭和6年）には、稲葉郡の日野村と本荘村を岐阜市に編入合併し市域が拡大したことを記念して、「大岐阜市実現祝賀行進歌」が作られるなど、戦前から多様な楽曲が存在していました。しかし、これらの戦前の歌は、第二次世界大戦後には演奏される機会がほとんどなくなり、市民の間からその存在が忘れられつつありました。

市制90周年記念としての制定

こうした状況の中、岐阜市は新たな市民歌の制定を企画します。これは、1979年（昭和54年）に迎える市制施行90周年の重要な記念事業として位置づけられました。新しい市民歌の歌詞を決定するにあたり、市は市民から広く詞を募集する懸賞募集を実施しました。この募集には市民から合計210編もの応募作品が寄せられ、市民の歌への高い関心が示されました。寄せられた応募作の中から厳正な審査を経て入選作品が選ばれ、これを基に歌詞が完成しました。そして、この完成した歌詞にメロディーが付けられ、「岐阜市民の歌」は1979年3月15日付けで正式に制定されたのです。制定後間もない同年3月25日には、岐阜市民会館で発表演奏会が開催され、市民に新しい歌がお披露目されました。

現在の利用状況

岐阜市役所によれば、「岐阜市民の歌」は現在も市の公的な場で演奏される機会があるとのことです。具体的には、市が主催する行事の一つである「岐阜市政功労表彰」の式典などで使用されていると説明されています。このように、市民歌は市の歴史や発展に貢献した人々を称える場など、市の重要な儀式や式典においてその存在感を示しています。

関連楽曲

岐阜市に関連する代表的な楽曲は、「岐阜市民の歌」だけではありません。市民歌の制定から約9年後の1988年（昭和63年）には、市制100周年を記念して「蒼い流れに」という記念歌が選定されています。この楽曲は、著名なシンガーソングライターである加藤登紀子氏が作詞、作曲、そして歌唱まで全てを手がけており、こちらも市の歴史における大きな節目を記念する歌として知られています。

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