岐阜提灯

岐阜提灯は、岐阜県岐阜市周辺で生産される伝統的な提灯で、美濃和紙と竹を主な材料としています。岐阜県は提灯の生産額が日本一であり、福岡県の八女提灯とともに日本の二大提灯産地として知られています。

歴史

岐阜提灯の起源には諸説あり、安土桃山時代の慶長年間（1596年 - 1615年）に始まったという説と、江戸時代初期の慶安3年（1650年）に始まったという説があります。

『岐阜志略』によれば、慶長年間に土岐成瀬の時代に起こり、徳川家光の時代に初めて江戸幕府に献上されたとされています。当初は尾張藩への献上品として、彩色を施さない無地の提灯が作られていました。

宝暦年間（1751年 - 1763年）には、薄紙と竹ひごを用いた棗型の現在の形状となりました。天明年間（1781年 - 1789年）には、奉行の黒田六一郎を通じて徳川将軍家や大奥でも用いられるようになりました。当時の岐阜提灯は高級品であり、他地域へ移出されることはほとんどありませんでした。文政年間（1818年 - 1829年）には彩色を施した提灯が登場し、裕福な人々が盆や祭りの際に飾る高級な提灯として使われました。

明治維新後、岐阜提灯は一時衰退しましたが、1878年（明治11年）に明治天皇が東海北陸地方を巡幸した際、勅使河原直次郎が岐阜県の主要産品として岐阜提灯を献上したことで、全国的に知られるようになりました。また、海外の博覧会でも高い評価を受けました。

1952年（昭和27年）には、彫刻家のイサム・ノグチが岐阜提灯をモチーフにした「Akari」シリーズを製品化し、世界中で人気を集めました。

1995年（平成7年）4月5日には、通商産業省（現経済産業省）によって伝統的工芸品に認定され、2006年（平成18年）10月には地域団体商標に登録されました。2015年（平成27年）4月24日には、「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜」の構成文化財として日本遺産に認定されています。

特徴

岐阜提灯は、美濃和紙の産地である岐阜県美濃市周辺で生産されています。良質な竹と、高度な技術を持つ竹細工職人や木工職人が揃っていたことが、産地として発展した要因です。

細い竹ひごに美濃和紙などの薄紙を張り、通常は長卵形の吊り提灯として作られます。薄紙には美しい模様が施されており、その繊細な美しさが特徴です。

製造は手作業が多く、主な技術として、細い竹ひごに薄紙を張る「張り」、薄紙に模様を版画の要領で摺る「擦り込み」、提灯の木地の部分に白胡粉で立体的な模様を施す「盛り上げ」などがあります。

盆灯籠としても使われるため、盆提灯とも呼ばれます。

外部リンク

岐阜提灯協同組合
盆提灯とお盆についての基礎知識

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