岐阜県畜産研究所飛騨牛研究部

岐阜県畜産研究所飛騨牛研究部

岐阜県畜産研究所飛騨牛研究部は、岐阜県高山市清見町に設立されている特別な研究施設です。この研究部では、飛騨牛に関するさまざまな研究が行われており、主に質の改善や優良種雄牛の精子の保存、さらに畜産農家への優れた子牛の供給を目指しています。特に、テレビなどで飛騨牛の起源を取り上げられることも多く、その名は広く知られています。

研究部の活動内容

この研究所は、高山市清見町の牧ヶ洞に位置し、飛騨牛の優れた特性を維持・向上させるためのさまざまな取り組みを行っています。具体的には、飛騨牛の品種改良や、精子の凍結保存技術を駆使して、将来的な繁殖に役立つデータの蓄積に努めています。また、これにより畜産農家にはより良い子牛が供給され、飛騨牛のブランド価値を高めることにも寄与しています。

名だたる種雄牛

飛騨牛の研究で特に重要な役割を果たした種雄牛には、いくつかの特筆すべき個体が存在します。中でも「安福号」という名の牛は、約4万頭の飛騨牛を生み出し、150頭の種雄牛の父としてその名を馳せました。安福号は1980年に但馬牛として誕生し、翌1981年には岐阜県によって購入されました。その命名は当時の知事、上松陽助によるもので、現在でも全国の黒毛和牛の約30%が彼の血を引いているとされています。

安福号の後世への影響

安福号は1993年に亡くなりましたが、研究所はその精巣を凍結保存することに成功しました。この精巣を基に、岐阜県畜産研究所と近畿大学は共同で研究を進め、そこから生きた細胞を取り出すことができました。結果、体細胞クローン牛「望安福」が誕生し、2007年から2008年にかけて4頭のクローン牛が生まれました。残念ながらそのうち2頭は死亡しましたが、クローン技術による新たな可能性が広がりました。

将来的には、安福号の生前には行えなかった遺伝子発現解析やタンパク質解析を通じて、さらなる和牛の質向上や、肉の美味しさの秘密が解明されることが期待されています。ただし、今回のクローン牛は研究目的に限定されており、食肉として市場に流通することはありません。

このように、岐阜県畜産研究所飛騨牛研究部は、飛騨牛の品質維持・向上だけでなく、畜産業全体における研究の重要な拠点として、多大な影響を及ぼしています。

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