岐阜総合庁舎

旧岐阜総合庁舎について

旧岐阜総合庁舎は、岐阜県岐阜市にかつて存在した公共の施設で、その正式名称は岐阜県岐阜総合庁舎です。この庁舎は、岐阜地域の各種行政機関が集まる中心的な場所として機能していましたが、耐震性の問題から2013年3月31日をもって閉庁となりました。これにより、地域の皆様が利用されていたサービスも他の施設に移転することとなりました。

建築の歴史

この庁舎は1924年（大正13年）に完成した3代目岐阜県庁舎であり、初めて使用されたのは同年11月の落成式以降です。建物は鉄筋コンクリート構造で、地下1階、地上3階の構成となっており、さらに塔屋を備えたデザインが特徴的です。設計は岐阜県営繕課の主任技師である清水正喜をはじめ、矢橋賢吉や佐野利器が担当しました。施行には地元の銭高組が関与し、大理石工事は矢橋大理石商店が行いました。

当初、建物の正面には11階建ての塔を設ける計画がありましたが、1923年の関東大震災の影響で計画が見直され、塔の建設は中止となりました。その結果、比較的低層のシンプルな建物の姿が整えられました。しかし、デザインにはモダニズム的な美しさが取り入れられ、重厚感と立体美が際立つ仕上がりとなりました。また、天窓へのステンドグラスには、飛騨山脈をモチーフにした美しい図案が施されています。

内装と特徴

旧庁舎内部には、旧知事室や旧会議室に暖炉が設置されており、食堂や手洗所は豪華な大理石で装飾されています。この大理石は地元の矢橋大理石商店から贈られたものです。特に正面玄関に使われる金生山産の大理石は学術的にも価値が高い化石を含んでおり、貴重な資源となっています。ちなみに、当初設計された長良川鵜飼や養老の滝をモチーフとしたステンドグラスは、塔の建設の中止により取り付けられませんでしたが、現在は新しい県庁舎の県議会棟内に展示されています。

未来と保存

2009年には老朽化と耐震補強にかかわる費用が問題視され、最終的に庁舎の解体を決定。岐阜市への土地の売却とともに、一部を進んで保存することが決まりました。この際、南側部分は建築当時の状態を良好に保ちながら保存が行われ、その他の部分は解体されることとなりました。現在、この旧岐阜総合庁舎は岐阜県近代化遺産に指定されており、再評価されています。

アクセスと周辺環境

交通に関しては、岐阜バスの「鶯谷高校口」バス停からのアクセスが可能です。岐阜県例に挙げると、1960年代には手狭さが問題視され、周囲の郊外に新しい庁舎を建設する意見もありました。しかし、当時の岐阜県知事は交通事情を考慮して新しい立地を選ぶ方針を取ったため、今の場所に新たな庁舎が建設されたのです。

旧岐阜総合庁舎はその歴史的背景と美しいデザインから、地域の人々にとって愛されてきました。今もその一部が保存され、歴史を語り継いでいます。

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