岐阜電気

岐阜電気株式会社

岐阜電気株式会社（ぎふでんき かぶしきがいしゃ）は、明治末期から大正初期にかけて岐阜県内で電力事業を展開した電力会社です。1907年に設立され、1921年までの約14年間にわたって岐阜市・大垣市を中心に電気を供給しました。岐阜電気は、県内で初めて電気を供給した岐阜電灯株式会社の事業を引き継ぎ、主に水力発電所を用いた電力の提供へと転換した点が特徴です。

1. 概要

岐阜電気株式会社は1907年に岐阜市に設立されました。前身となる岐阜電灯株式会社は1894年に開業し、県内で初めて電気事業を手掛けましたが、当初は小規模な火力発電に依存していました。岐阜電気は、岐阜電灯の営業権と資産を買収し、水力発電を主体とした事業へと移行しました。特に岐阜電気は揖斐川の支流である粕川に新たな水力発電所を設け、電力供給の質を向上させました。

2. 供給の拡大

岐阜電気は設立後すぐに水力発電所を完成させ、1908年から本格的な電力供給を開始しました。地域拡大を進め、大垣市にも供給を行い、動力用電力の提供も始まりました。その後も岐阜市周辺や西濃地域への供給網を拡大し、多くの納入先を確保しました。市内の需要者に対しては、効率的な供給を実現するために、発電所の増設も進めましたが、岐阜市と報償契約を結んで独占的な供給権を得たことが市民からの反発を招きました。

3. 騒擾事件

1914年には市との契約や電灯料金を巡る問題から騒擾事件が発生しました。市民の反発を受けた岐阜電気は、騒動を鎮めるために電灯料金の値下げを発表しましたが、これが逆に市民の怒りを増幅させる結果となり、更なる抗議活動を引き起こす事態に至りました。この厳しい状況下において、岐阜電気は地域との関係強化に努めなければならなくなりました。

4. 水力発電の重要性

岐阜電気の電力供給の大部分は水力発電によるものであり、これは当時の電力需要の変動に対して非常に効果的でした。水力発電所は小宮神、河合、春日の三つがあり、これらは粕川の流れを活用したものでした。特に小宮神発電所は最初の水力発電所として重要な役割を果たし、徐々に供給力を増強していくこととなります。

5. 合併の経緯

しかし1940年代に入ると、岐阜電気は供給力の限界に直面し、名古屋電灯との合併を選択せざるを得なくなりました。1920年に合併契約を締結し、1921年には正式に合併が実現しました。この合併によって地域の電力供給の安定が図られ、名古屋電灯の一部として新たなスタートを切ることとなりました。

6. 現在までの影響

岐阜電気の事業で培われた知見や経験は、現在の中部電力やその後継企業において引き継がれています。岐阜電気の設立当初から続く地域への貢献や電力供給の安定性は、今でも多くの人に影響を与えています。過去の経験を元に、地域に根差した電力サービスが行われていることを誇りに思います。

岐阜電気株式会社の歴史は、地方の電力事業の重要なモデルケースとも言えるでしょう。

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