岡三沙子

岡 三沙子

岡 三沙子（おか みさこ）は、1933年に秋田県で生まれた日本の詩人およびノンフィクション作家です。本名を川端みさおといい、現在は東京都町田市に居を構えています。

経歴

秋田県立秋田北高等学校を1951年に卒業した後、秋田大学教育学部で学び、1954年に修了しました。大学を卒業してから2年間小学校の教員として勤務しましたが、1956年に上京し、日本大学芸術学部に編入学します。同学部を1959年に卒業した後は、新聞記者やコピーライターといった職を経験しました。こうした多様な経歴は、その後の多岐にわたる文筆活動に影響を与えたと考えられます。

文筆活動

岡三沙子の創作活動は、詩から始まりました。1964年、最初の詩集となる『屍』を思潮社から上梓し、詩壇に登場します。

詩作に加え、ノンフィクション作家としても重要な足跡を残しています。特に、1983年に発生した日本海中部地震における津波で遭難した児童に関する著作は、その活動の中でも特筆すべきものです。山上岳彦さんの遺稿集『岳彦の日記 秋田沖大地震・津波遭難児の遺稿集』の編纂を手がけ、1992年にけやき書房から出版されました。この編著は、被災した子どもたちの声に光を当てた功績が認められ、同年に土井晩翠児童賞を受賞しています。また、この震災で揺れた秋田県合川町の10年間を追ったドキュメント『運命の三叉路 学童津波遭難に揺れた秋田県合川町の十年 ドキュメント』を武蔵野書房から1993年に刊行しています。さらに、津波から生還したものの難病で亡くなった松橋妙子さんの病棟日記を編纂した『消えた夏 津波遭難から生還し難病で逝った妙子の病棟日記』が、健友館より1995年に出版されるなど、震災というテーマに深く向き合った作品を世に送り出しました。

詩人としては、初期の『屍』以降も創作を続け、『わが禁猟区 岡三沙子詩集』（2010年、コールサック社）や『岡三沙子詩集』（2012年、土曜美術社出版販売、新・日本現代詩文庫シリーズ）などを発表しています。また、エッセイ集も手がけており、2016年にコールサック社から刊行された『寡黙な兄のハーモニカ 岡三沙子エッセイ集』は、2017年に日本詩歌句協会の随筆評論賞優秀賞に選ばれました。詩、ノンフィクション、エッセイと、幅広いジャンルで活動しています。

所属

岡三沙子は、日本の文学界において積極的に活動しており、日本詩人クラブの会員です。また、詩の同人誌「日本海詩人会」や、短歌の同人誌「埴」にも参加し、他の作家たちとの交流を持ちながら創作を続けています。

長年にわたり、詩とノンフィクションという異なる分野で独自の視点から作品を発表し続ける岡三沙子の活動は、現代文学における貴重な存在といえます。

主な著作

『屍 詩集』（思潮社、1964年）
『アメリカの裏側では 詩とエッセイ』（青磁社、1985年）
『運命の三叉路 学童津波遭難に揺れた秋田県合川町の十年 ドキュメント』（武蔵野書房、1993年）
『わが禁猟区 岡三沙子詩集』（コールサック社、2010年）
『岡三沙子詩集』（新・日本現代詩文庫）（土曜美術社出版販売、2012年）
『寡黙な兄のハーモニカ 岡三沙子エッセイ集』（コールサック社、2016年）

主な編著

山上岳彦『岳彦の日記 秋田沖大地震・津波遭難児の遺稿集』（編、黒田穣絵）（けやき書房、1992年）
松橋妙子『消えた夏 津波遭難から生還し難病で逝った妙子の病棟日記』（編）（健友館、1995年）

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