岡倉大吉

岡倉大吉：『渡る世間は鬼ばかり』の主人公

岡倉大吉は、国民的ホームドラマ『渡る世間は鬼ばかり』に登場する、視聴者に愛された架空の人物です。第1シリーズから第7シリーズまでは藤岡琢也さんが、第8シリーズ以降は宇津井健さんが演じました。大吉は、家族や周囲の人々との温かい交流を通して、その人間性を豊かに変化させていく姿が描かれています。

プロフィール

生年月日：1928年6月20日（最終シリーズ第1話では1930年10月14日）
没年月日：2014年12月30日
住所：東京都世田谷区弦巻6-12-9（ドラマの設定）
職業：会社員（子会社取締役常務→監査役→退職）→小料理屋「おたふく」板前→お食事処「おかくら」店主
好物：黒砂糖、チーズ
趣味：囲碁、ゴルフ
資格：調理師

来歴と人物像

幼い頃に母親を亡くし、姉である森山珠子（演：森光子）に育てられました。大学入学前には父親も亡くし、珠子が働きながら大吉の学費を工面しました。大吉は珠子に対して強い恩義を感じており、作中でも度々感謝の言葉を口にしています。姉に対する強い思いは、ある種のシスターコンプレックスと見られることもありました。

ドラマの初期、大吉は好き嫌いがはっきりしており、自宅ではわがままな一面を見せることもありました。不機嫌になると妻や娘たちに当たることもあり、典型的な昭和の父親像として描かれていました。しかし、小料理屋「おたふく」で料理人としての道を歩み始めてからは、徐々に性格が丸くなっていきます。妻である節子の死後は、娘や孫たちが抱える問題に対して冷静に助言や援助をするようになり、頼りがいのある存在へと変化していきました。

珠子の紹介で節子と結婚し、弥生、五月、文子、葉子、長子の5人の娘に恵まれました。男の子を望み、「大志（だいし）」という名前を用意していたエピソードも語られています。

四女の葉子からは「馬鹿が付くくらいのお人よし」と評されるほど、情に厚い人物でした。遠山遊や大木忠則を引き取って面倒を見たり、彼らに小遣いを渡したりするエピソードからも、その人柄がうかがえます。特に遠山に対しては、雲仙まで会いに行くほどでした。

会社員時代は重役まで上り詰めましたが、社長との意見の相違から子会社へ出向となります。その後、五月の嫁ぎ先である「幸楽」の遺産相続問題が起こり、節子に内緒で自身の退職金を使い、五月の夫である健治の借金返済に協力しました。この一件をきっかけに、かねてから興味があった料理の世界へ足を踏み入れることを決意し、家族に内緒で会社を退職。「おたふく」で見習いとして働き始めました。

板前への転職は当初、節子の猛反対を受けましたが、最終的には理解を得て、調理師の資格も取得しました。その後、山口政子の援助もあり、念願の食事処「おかくら」をオープン。節子も女将として店を支え、店は繁盛しました。

第9シリーズでは、小宮怜子という女性に恋心を抱き、長子の代わりとして「おかくら」で雇います。しかし、怜子は最終的に他の男性との再婚を選び、大吉のプロポーズは叶いませんでした。

2014年12月30日、夜の営業を終え、夜食の席に着いた際、心筋梗塞で急逝。84歳でした。遺産を巡っては、娘たちの間で意見が分かれましたが、最終的には孫の日向子が「おかくら」を継ぐことを決意し、店は株式会社として存続することになりました。

大吉を演じた藤岡琢也さんと宇津井健さんは、ともに故人となられました。藤岡さんは第7シリーズ最終話が遺作となり、宇津井さんは「2013年2時間スペシャル」が生涯最後のテレビドラマ出演となりました。

家族構成

姉：森山珠子（演：森光子）
妻：岡倉節子（演：山岡久乃）
長女：野田弥生（演：長山藍子）
次女：小島五月（演：泉ピン子）
三女：高橋文子（演：中田喜子）
四女：大原葉子（演：野村真美）
五女：本間長子（演：藤田朋子）
* 養女：遠山遊（演：山辺江梨）

お食事処「おかくら」

大吉が開店した和食店。当初は山口商事のテナントビルにありましたが、後に岡倉家の1階を改装してリニューアルオープンしました。妻の節子、親友の青山タキらが女将を務め、多くの従業員に支えられてきました。大吉の死後も、孫の日向子が店を継ぎ、味と伝統を守り続けています。

「おかくら」は、単なる飲食店としてだけでなく、岡倉家の人々の生活の中心であり、様々な人間模様が繰り広げられる舞台として、ドラマを彩りました。

まとめ

岡倉大吉は、『渡る世間は鬼ばかり』というホームドラマを通じて、家族の温かさ、人との繋がりの大切さを教えてくれる存在でした。彼の人生は、私たちに多くの感動と共感を与えてくれました。

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