岡崎雪聲

岡崎雪聲（おかざき せっせい）

岡崎雪聲は、嘉永7年（1854年）に生まれ、大正10年（1921年）に没した、明治から大正にかけての鋳造師、彫金家です。本名を庄次郎といい、彫刻家の渡辺長男は娘婿にあたります。

生涯

雪聲は、嘉永7年（1854年）、現在の京都府京都市伏見区で釜師である岡崎貞甫の子として生まれました。幼少の頃から釜師としての技術を習得し、21歳の時に上京して鋳工を学び、鋳金家の鈴木政吉の門下に入りました。

明治22年（1889年）には、パリ万国博覧会に出品した作品が2等を獲得し、その名を知られるようになります。また、各地の古仏像を鋳造の面から調査研究することで、岡倉覚三（天心）と知己を得て、明治23年（1890年）に東京美術学校鋳金科の教師に就任しました。明治25年（1892年）には、『執金剛神』像がシカゴ万国博覧会への出品作に選ばれるなど、精力的に作品を制作し、明治29年（1896年）には鋳金科教授となりました。日本美術院の設立にも名を連ね、香取秀真や津田信夫など、数多くの鋳金家を育成しました。

雪聲の墓所は、東京都文京区向丘の清林寺にあります。

鋳造技術

雪聲は、卓越した彫金技術に加え、高度な鋳造技術を持っていました。そのため、数多くの彫刻家の作品の鋳造に関わっています。その中でも特に著名なものとしては、高村光雲が原型を制作した西郷隆盛像、渡辺長男の日本橋欄干彫刻、軍神広瀬中佐像、竹内久一の日蓮上人立像、横浜市掃部山公園の井伊直弼像などが挙げられます。

特に、皇居外苑の楠木正成像の制作においては、巨大な像を鋳造するための技術を習得するため、単身で自費で渡米しました。そして、日本で初めてとなる分解鋳造法による鋳造を行ったことで知られています。

その他

二宮金次郎像：最も有名な「薪を背負った像」は、雪聲が最初に制作したことで知られています。明治43年（1910年）に東京彫工会に出品されました。
幸田露伴：友人のひとりで、雪聲をモデルとした小説を2作（「鵞鳥」「名工出世譚」）を書いています。

岡崎雪聲は、日本の近代彫金史において重要な役割を果たした人物の一人です。

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