高村光雲

高村光雲

高村光雲（たかむら こううん）は、1852年3月8日に江戸下谷（現・台東区）で生まれた日本の著名な仏師であり、彫刻家です。彼の家族には詩人の高村光太郎や鋳金の高村豊周など、芸術家が多く、決して無名ではない存在でした。光雲は1863年から仏師の高村東雲に師事し、技術を磨く中で東雲の養子となり、高村姓を名乗りました。

経歴と活動

明治維新後、廃仏毀釈運動の影響を受け、仏師としての仕事は激減しました。そんな厳しい状況下にあっても、光雲は木彫に愛情を注ぎ続け、西洋美術も学びながら、写実主義を取り入れることで日本の木彫を復興させる重要な役割を果たしました。彼の取り組みにより、江戸時代まで続く木彫技術の伝統が近代へと受け継がれていくことができました。

光雲は1889年から東京美術学校に勤務し、その後、彫刻科教授に就任しました。1893年にはシカゴ万博に自作の『老猿』を出品し、これが国の重要文化財として認められました。さらに、1900年にはパリ万博にて『山霊訶護』を出品。このように、彼の作品は国内外で高く評価されました。

光雲は教育者としても多大な影響を与え、彼の弟子には山崎朝雲や山本瑞雲など近代日本彫刻界を代表する彫刻家が名を連ねています。彼は1934年に82歳で亡くなりましたが、その足跡は今も多くの人々に影響を与えています。

主な作品

老猿（東京国立博物館蔵） - 1893年のシカゴ万博出品作で、木彫作品。
西郷隆盛像（上野恩賜公園） - 1897年完成。光雲の代表作の一つ。
楠公像（皇居前広場） - 住友家の依頼によって制作。光雲が製作主任。
山霊訶護（宮内庁蔵） - パリ万博出品作。
* 矮鶏置物（宮内庁蔵） - 1889年に制作。

他にも多くの作品があり、彼が残した作品は日本の彫刻界における重要な文化遺産として、今も大切にされています。

栄典・著書

光雲は多くの栄典を受けており、1901年には正六位、1903年には従五位といった位階を授与されています。1926年には従三位に昇進しました。また、彼は著書も残しており、『高村光雲懐古談』（1970年）や『人間の記録 高村光雲 木彫七十年』（2000年）などから、彼の思想を知ることができます。

最後に

光雲は、彫刻家としてだけでなく教育者としても成功を収めた人物です。その功績は彫刻のみならず、多くの弟子たちの活躍を通じて、今なお日本の芸術界に影響を与え続けています。彼の人生と作品は、深い感銘を与えるものであり、今後も多くの人々に愛されていくことでしょう。

もう一度検索