岡崎高之

岡崎高之

岡崎 高之（おかざき たかゆき、1940年3月28日 - ）は、日本の陸上競技界で活躍した人物の一人です。主に走幅跳と三段跳を専門とし、選手として二度のオリンピックに出場するなど、国際的な舞台でその実力を示しました。

生涯と競技歴

千葉県君津市に生まれ育った岡崎氏は、君津市立君津中学校在学中に陸上競技と出会い、陸上部に所属しました。しかし、本格的に競技に打ち込み始めたのは、千葉県立木更津高等学校に入学してからと言われています。高校3年生だった1957年には、静岡で開催された国民体育大会に三段跳の選手として出場。この大会で15メートル70センチという驚異的な日本高校新記録を樹立しました。この高校記録は、1986年に蓮勝美選手によって更新されるまで、実に28年もの長きにわたり保持されることとなります。

高校卒業後、中央大学へと進んだ岡崎氏は、1960年にイタリアのローマで開催されたオリンピック競技大会に走幅跳の選手として出場する機会を得ます。この大会では予選を突破して決勝進出を果たすも、残念ながら試合中に足の痙攣に見舞われ、途中棄権という結果に終わりました。

大学を卒業した後は、当時の八幡製鐵株式会社（現在の日本製鉄）に入社し、競技を続けました。1962年にはインドネシアのジャカルタで開催されたアジア競技大会に出場し、走幅跳の種目で見事金メダルに輝き、国際大会での実績を積み上げます。

1964年4月には、国民体育大会の予選会である三段跳競技で16メートル48センチという自己記録をマークしました。これは、同年秋に東京で開催されるオリンピック本番まで半年を切った時期に叩き出した大記録であり、「お家芸」と称された日本の三段跳が再び世界の檜舞台で輝くのではないか、という大きな期待を抱かせました。しかし、その翌月、不運にもかかとの怪我を負い、練習の中止を余儀なくされました。競技への本格的な練習を再開できたのは、オリンピック開幕のわずか1ヶ月前だったと伝えられています。このような厳しい状況の中、東京オリンピックでは三段跳に出場し、決勝まで駒を進め、15メートル90センチの記録で10位という成績を残しました。

オリンピック後も競技活動を続け、1965年には全日本実業団対抗陸上競技選手権大会の三段跳と、日本陸上競技選手権大会の走幅跳でそれぞれ優勝を飾りました。翌1966年には、再び全日本実業団対抗陸上競技選手権大会に出場し、三段跳と走幅跳の両種目を制して二冠を達成するなど、国内トップレベルでの活躍を見せました。1968年のメキシコシティーオリンピックへの連続出場も目指しましたが、惜しくも怪我の影響で国内予選を突破できず、1969年に競技生活から身を引きました。

引退後の活動

現役引退後、岡崎氏は陸上競技の指導者としての道を歩み始めます。1970年には、新日本製鐵株式会社（現在の日本製鉄）君津製鐵所の陸上競技部監督に就任し、後進の育成に尽力しました。

その後、1987年には会社の早期退職制度を利用し、故郷である君津市でサウナ店を開業。実業家としての新たな道を歩み始めました。サウナ店は開業当初こそ地域の人々で賑わいを見せましたが、時代の変化と共にスーパー銭湯など新たな業態との競合により客足が遠のき、2014年に店を閉じました。2016年時点での毎日新聞の取材によれば、現在は地元でデイサービスセンターを経営しているとのことです。

岡崎高之氏は、選手として輝かしい実績を残しただけでなく、指導者、そして実業家としても多角的なキャリアを歩んだ人物と言えます。

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