岡本保真

岡本 保真について

岡本 保真（おかもと やすざね）は、戦国時代末期に活躍した武将であり、下野国の塩谷郡に生まれました。彼は塩谷義通流の塩谷氏の二代目であり、その人生はさまざまな逸話や伝説に彩られています。特に、彼は武勇に優れ、小太刀の使い手として名を馳せたことで知られています。

生涯の概要

保真は、塩谷義通の次男として誕生しました。兄の義保が母方の家系である岡本家を継いだため、保真は1597年頃から塩谷惣十郎という名を名乗り、父親の家督を引き継ぎました。この年、彼は祖父の正親および兄と共に上洛し、豊臣秀吉に謁見するという重要な機会を得ました。

武士としての腕前に自信を持っていた保真は、大坂の陣においても兄とともに徳川方に加わり、その戦いでは合わせて31の首を挙げるという見事な成果を上げています。その戦歴から、彼は名将として広く認識されました。

旗本として約1000石を領し、幕府に仕官していた保真ですが、1644年3月10日、甥の岡本義政の陰謀により命を落とすことになります。この事件は「泉騒動」として知られています。当時、保真には義政の弟万吉との養子縁組が決まりかけており、また保真に付与される1000石の件が義政にとって財政面での負担となったため、彼がこの計画を阻止するために保真を手にかけたという背景があります。この事件をきっかけに、岡本家は改易処分となり、保真の三男保正は後に桜田御殿に仕官することになりました。

曲渕薬師の伝説

保真にまつわる興味深い伝承には、文禄4年（1595年）頃に彼が目の病を患っていた際、老僧の夢告を受けるという逸話があります。老僧は、保真が信仰していた薬師如来の化身だとされる夢の中で、泉城の近くに流れる内川の曲渕で仏像を見つけるように告げました。

彼がその指示を遵守した結果、曲渕で仏像を見つけて薬師堂を建立し、そこに日々信心を込めた結果、ついに眼病が治癒したと伝えられています。この薬師堂は太平洋戦争の時期まで存在していましたが、老朽化のために現在は失われています。しかし、保真は自らの開基となり、曲渕山瑞雲院という寺を曲渕近くに建立しました。その寺には今も薬師如来の像が安置されています。

瑞雲院の創建年代に関しては、明確な資料が乏しいため異なる見解がありますが、一般的には岡本家の菩提寺である鏡山寺の開山が行われた慶長2年（1597年）以降、開山の住職が亡くなる慶長9年（1604年）の前後に設立されたと考えられています。

このように、岡本保真はその武道の名声と共に、信仰の面でも特異なエピソードを持つ武将でした。後世に語り継がれる逸話や伝説は、彼の存在の影響力を今もなお感じさせます。

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