岡本宮

岡本宮（おかもとのみや）

岡本宮とは、7世紀に舒明天皇と斉明天皇がそれぞれ営んだ宮殿のことです。現在の奈良県明日香村岡にあった飛鳥京跡に位置していたと考えられています。舒明天皇の宮は特に飛鳥岡本宮、斉明天皇の宮は後飛鳥岡本宮と区別して呼ばれることがあります。

経緯

舒明天皇の岡本宮

舒明天皇は629年1月に即位し、その翌年の630年10月に飛鳥岡（現在の雷丘）の麓に宮を移し、これを岡本宮と名付けました。しかし、6年後の636年6月、岡本宮は火災によって焼失してしまいます。これにより、舒明天皇は田中宮（現在の橿原市田中町）へと宮を移すことになりました。

斉明天皇の後岡本宮

655年の冬、板蓋宮が火災に見舞われたため、斉明天皇は一時的に川原宮へと移りました。しかし、斉明天皇は新たな宮殿の建設地の選定も同時に進めており、翌年の656年には岡本に新しい宮殿が建設されました。これが後飛鳥岡本宮です。斉明天皇は舒明天皇の未亡人であったため、亡き夫がかつて宮を構えた場所を再び選んだということになります。

しかし、この新しい宮殿も完成した同じ年に火災に遭ってしまいます。当時の斉明天皇は、多武峰の山頂付近に石塁や高殿を築いたり、奈良盆地に運河を掘るなど、大規模な土木事業を多数行っていました。これらの事業は動員された民衆にとって大きな負担となり、不満が高まっていました。そのため、後飛鳥岡本宮の火災は、民衆による放火ではないかという説も唱えられています。飛鳥時代の宮殿は火災に遭うことが多く、これは民衆が政治に対する不満を天皇の宮殿への放火という形で表明していたのではないか、という説も存在します。

名称の由来

「岡本宮」という名称は、文字通り岡（雷丘）の麓に位置していたことに由来します。この地勢的な特徴が、宮殿の名前に反映されたと考えられます。

脚注

飛鳥時代の宮殿は、木造建築であったため火災に弱かったと考えられています。
斉明天皇が行った大規模な土木事業は、国家の威信を示すとともに、民衆の労働力を利用するものでした。

関連項目

* 日本の首都

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