岡本更園

岡本 更園 (おかもと こうえん)

1895年に兵庫県で誕生した岡本更園は、大正から昭和にかけての時代に活躍した女流日本画家です。本名は延子で、時折、岡本のほかに星野や大江の姓を名乗ることもありました。彼女の芸術活動は、師である岡本大更や鏑木清方、西山翠嶂の影響を受けて豊かに展開されました。

来歴

岡本は、当初義兄の岡本大更が運営する更彩画塾にて日本画の技法を学びました。1916年には吉岡千種、島成園、松本華羊と共に「女四人の会」を結成し、井原西鶴の古典的な作品『好色五人女』をテーマにしたグループ展を開催しました。これは彼女の創作活動において重要なステップとなりました。

その後、1919年には東京へ上京し、鏑木清方に入門。続いて西山翠嶂のもとでも学び、技術を磨いていきました。岡本は特に美人画を得意としており、彼女の作品にはその豊かな感性と洗練されたスタイルが反映されています。新聞や雑誌の挿絵を手掛けるなど、多岐にわたる活動を行い、同時代の女流画家たちとも深い親交を結んでいました。特に島成園や生田花朝女との交流は、彼女の創作に大きな影響を与えたといわれています。

1925年には、北野恒富や菊池契月を顧問に迎え、木谷千種、三露千鈴とともに「向日会」を発足させました。この団体は大阪から文展に入選を果たすなど、岡本の名声をさらに広めるきっかけとなりました。

彼女の制作活動は多岐にわたり、その作品の多くは独自の美的感覚を反映しています。特に「桔梗と童女図」や「初盆」、「立美人図（少女図）」、「唐美人図」といった作品は、彼女の代表作として広く知られています。

作品

• - 桔梗と童女図: 絹本着色
• - 初盆: 絹本着色
• - 立美人図(少女図): 絹本着色 ※昭和11年（1936年）「林石」鑑定箱
• - 唐美人図: 絹本着色

岡本更園の人生についての詳細は不明な点が多いものの、彼女が日本画の分野で残した足跡は大きく、同時期の画家たちと共に日本の美術界に重要な貢献を果たしました。

参考文献

• - 山田一生 『日本画家 岡本大更-その画業と更生・更園』 みずほ出版、2003年
• - 鏑木清方記念美術館編 『鏑木清方の系譜 -師水野年方から清方の弟子たちへ-』2008年

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