岡本潤

岡本潤 - 日本の詩人・脚本家の足跡

人物・来歴

岡本潤、正式には岡本保太郎として知られる彼は、1901年に埼玉県で誕生しました。幼少期は両親の離婚により、母方の祖父に育てられることになり、京都での教育を受けました。彼の学びの場は多岐にわたり、旧制深草尋常高等小学校から平安中学校へと進みましたが、その後は大学へ進学してもすぐに中途退学するなど、時には流浪の思いを抱きながら学生生活を送ったとされています。

彼の人生で大きな転機となったのは、アナキズムに影響を受けたことでしょう。19歳のときに参加した日本社会主義同盟により、彼は詩作を始め、1922年には結婚を果たしました。前衛詩運動にも関与し、詩誌『赤と黒』を創刊することで、彼の文筆活動は本格的に始動しました。

詩作と映画への道

1928年、岡本は第一詩集『夜から朝へ』を世に送り出し、その後も1941年に発表した『夜の機関車』など、彼の詩は独創的な視点を提供しました。1933年には第2詩集『罰当りは生きている』を発表するも、発禁処分に至り、社会に対する挑戦的な姿勢を示しています。このような激動の時代にあっても、岡本は常に自らの信念を貫いて詩的表現を行い続けました。

また、1936年には京都で映画製作に参加し、マキノトーキー製作所の企画部メンバーとしても活動。映画Scriptを執筆したものの、詳細なペンネームは不明ですが、映画の世界でも存在感を示していました。1945年には代表作『犯罪者は誰か』の脚本を手掛け、彼の映画界での功績を確立します。

政治的変遷と映画界からの追放

哲学的な立場に関して、1947年にはアナキズムから共産主義への転向を果たしますが、1950年には連合国軍によるレッドパージの波にのまれ、映画界から追放されるという苦しい状況に陥りました。これにより、岡本は映画から遠ざかるきっかけとなり、彼のキャリアに影を落とします。

晩年と遺産

岡本は1978年に亡くなるまで、詩作と映画の両方でその才能を発揮しました。彼の死後、彼の作品は詩集『岡本潤全詩集』としてまとめられ、1947年には『襤褸の旗』を発表し続く世代に影響を与えています。岡本の墓は雑司ヶ谷霊園にあり、彼の功績は今も多くの文化人や詩人たちに引き継がれています。

おもなフィルモグラフィ

• - 脚本『犯罪者は誰か』、監督田中重雄、大映東京撮影所、1945年

ビブリオグラフィ

• - 詩集『夜から朝へ』、1928年
• - 詩集『襤褸の旗』、1947年
• - 『岡本潤全詩集』、1978年

岡本潤の人生は、文学と政治、さらに映画とが交錯した、多面的なものでした。彼の作品は、当時の社会情勢を反映しつつ、個人の思索の深さを感じさせるものであり、今後の世代にとっても貴重な文化遺産といえるでしょう。

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