岡本義則 (競艇選手)

岡本義則：艇界のレジェンド

岡本義則は、1935年2月22日、福岡県北九州市小倉北区に生まれました。1959年11月にボートレーサーとしてデビューして以来、その卓越した操縦技術と整備能力で、数々の記録と記憶に残るレースを展開しました。

卓越した技術と「走る教科書」の異名

岡本は、特に2コースからの捌きに定評があり、「ターンの魔術師」と称されました。その技術は、単に卓越しているだけでなく、他の選手たちの模範となるほど洗練されたものでした。整備に対する情熱も人一倍で、「走る教科書」とも呼ばれていました。前検日には、スタート特訓が終わるとすぐに整備室に駆け込み、バルブの調整に没頭していたそうです。他の整備には目もくれず、ひたすらバルブ調整に集中する姿は、まさに職人そのものでした。

驚異的な記録の数々

岡本の偉業は数多くありますが、特筆すべきは1970年に記録した年間171勝です。これは今もなお破られていない驚異的な記録であり、彼の技術と強さを物語っています。また、1980年には22連勝を達成し、これは歴代3位の記録として残っています。記念レース（SG、GI）での優勝は34回を数え、そのうち17の競艇場で優勝を経験しているという実績も、彼の偉大さを証明しています。1991年には56歳で賞金王シリーズ戦を制覇し、1992年には57歳でGI競走を優勝するなど、年齢を感じさせない活躍を続けました。

師弟関係

岡本は、作詞家の喜多條忠から「岡本先生」と呼ばれていました。また、一時期、植木通彦の師匠でもありました。それまで弟子を取らなかった岡本にとって、植木は最初で最後の弟子です。植木は何度も弟子入りを志願しましたが、なかなか受け入れてもらえませんでした。しかし、ある時、台風で岡本の自宅の屋根が壊れた際に、植木の父親が修理を手伝ったことをきっかけに、岡本は植木を弟子として迎え入れました。

レース以外の素顔

岡本は、競艇選手であることを近所の人に知られたくなかったようで、レースに向かう際は常にスーツ姿でした。その姿は、近所の人々からは「普通のサラリーマン」のように見えていたと言われています。

引退とその後

1997年5月1日、若松一般戦で最後の勝利となる通算3031勝を挙げ、その3日後のレースを最後に現役を引退しました。2007年には、ボートレースの殿堂入りを果たし、その功績を讃えられました。岡本の残した偉大な足跡は、今もなお多くのファンや関係者から語り継がれています。

主な獲得タイトル

岡本義則は、数々のレースで優勝を果たしており、特に以下のレースでの勝利は特筆すべきものです。

1964年：第10回全国地区対抗戦競走（蒲郡）、徳山開設11周年記念競走
1966年：徳山開設13周年記念競走、常滑開設13周年記念「全国争覇特別競走」
1967年：九州地区選手権競走（若松）、芦屋開設15周年記念競走、唐津開設14周年記念競走
1968年：第4回鳳凰賞競走（戸田）、大村開設16周年記念競走
1969年：第15回モーターボート記念競走（丸亀）
1970年：若松開設18周年記念競走
1972年：若松開設20周年記念競走
1973年：芦屋開設21周年記念競走、下関開設18周年記念競走
1975年：びわこ開設22周年記念「秩父宮妃記念杯競走」
1977年：九州地区選手権競走（福岡）、鳴門開設24周年記念競走
1978年：徳山開設25周年記念競走、尼崎開設26周年記念競走
1979年：びわこ開設27周年記念「秩父宮妃記念杯競走」
1981年：九州地区選手権競走（大村）
1985年：多摩川開設31周年記念競走
1988年：戸田開設32周年記念競走
1989年：九州地区選手権競走（芦屋）、尼崎開設37周年記念競走
1990年：福岡開設37周年記念競走、尼崎開設38周年記念競走
1991年：第6回賞金王シリーズ戦（平和島）
* 1992年：芦屋開設40周年記念「全日本王座決定戦」競走、徳山開設39周年記念競走

岡本義則は、その卓越した技術と情熱で、ボートレース界に多大な功績を残しました。彼の活躍は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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