岡村久道

岡村 久道（おかむら ひさみち）

1958年生まれの日本の弁護士。情報法や個人情報保護を専門分野とし、この分野の第一人者として知られています。

京都府福知山市で育ち、京都共栄学園中学校・高等学校を卒業後、京都大学法学部で学びました。1986年に弁護士登録を行い、現在は弁護士法人英知法律事務所の所長を務めています。大阪弁護士会に所属しています。

情報法分野における多岐にわたる活動

岡村氏は、法曹実務に携わるだけでなく、教育・研究機関においてもその知見を広く提供しています。国立情報学研究所の客員教授をはじめ、神戸大学法科大学院で知的財産法を、近畿大学法科大学院および産業法律情報研究所で兼任講師を務め、さらに奈良先端科学技術大学院大学では情報倫理について講義するなど、後進の育成にも尽力しています。

また、政府や公的機関、各種団体においても重要な役職を歴任し、政策形成や制度設計に深く関わってきました。内閣府の規制改革・民間開放推進会議では、生活・ビジネスインフラに関するワーキンググループの専門委員として提言を行い、内閣官房情報セキュリティセンター（NISC）のセキュリティ文化専門委員会でも専門委員を務め、情報セキュリティ意識の向上に貢献しました。他にも、（財）インターネット協会の評議員や、情報ネットワーク法学会情報法研究部会の部会長としても活動しています。

過去には、総務省におけるユビキタスネット社会のプラットフォーム機能、迷惑メール、迷惑通信といった喫緊の課題に関する研究会や、経済産業省の情報セキュリティ総合戦略策定研究会など、情報通信分野の多岐にわたる政策提言に関与しました。地方自治体においては、大阪府のICカード活用方策委員会アドバイザーや和歌山県のIT戦略本部ITアドバイザー会議委員を務め、地域の情報化推進にも貢献しています。さらに、（社）情報サービス産業協会のオープンソース調査委員会や、（財）ソフトウエア情報センターのオープンソースソフトウェアのライセンス契約問題に関する調査研究委員会でも委員を務めるなど、ソフトウェア関連の法的な課題解決にも携わってきました。

著作活動と個人情報保護の普及

情報法分野に関する豊富な知識と経験に基づき、多数の著作を発表しています。特に、鈴木正朝氏との共著『これだけは知っておきたい個人情報保護』（日本経済新聞社）は、法律関連書籍としては異例の売上となる86万部を発行し、2005年のベストセラーランキング（日販・トーハン調べ）で総合5位、ビジネス書部門で1位に輝きました。この著作は、個人情報保護法の重要性を一般に広く知らしめる上で大きな役割を果たしました。

主な単著には、『情報セキュリティの法律』（商事法務）、『会社の内部統制』（日本経済新聞出版社）、『個人情報保護法』（商事法務）などがあります。共著としては、鈴木正朝氏との個人情報保護に関するシリーズの他、新保史生氏との『電子ネットワークと個人情報保護 オンラインプライバシー法入門（現代産業選書）』（経済産業調査会）、近藤剛史氏との『インターネットの法律実務(新版) 』（新日本法規出版）などがあります。また、サイバー法判例解説や情報セキュリティ、ビジネス方法特許、インターネット訴訟に関する書籍の編集や共同監修も多数手がけており、この分野における研究・実務の発展に貢献しています。

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