岡田温

岡田温について

岡田温（おかだ ならう、1902年6月2日 - 2001年4月26日）は、日本の図書館学の権威であり、特に昭和期における図書館史において重要な役割を果たしました。彼は第3代かつ最後の帝国図書館長を務め、その後国立国会図書館の整理局長にも任じられました。

生い立ちと教育

岡田は宮城県仙台市で生まれ、7歳の時に養子に出されました。その後、府立四中や旧制一高（理科甲類）を経て、1923年には東京帝国大学文学部美学美術史学科に入学します。在学中には植村正久の指導の下でキリスト教の洗礼を受けましたが、肋膜炎により休学を余儀なくされ、その後社会学科に転科し、1928年に卒業しました。

図書館への道

卒業後、岡田は帝国図書館に入職し、松本喜一館長から信任を受け、司書官に任命されました。1945年11月に松本が急死し、彼の後任として1946年5月に帝国図書館長に就任します。1947年12月には帝国図書館が国立図書館と改称され、岡田は最後の帝国図書館長としてその地位に立ちました。

その後、1948年には新設された国立国会図書館の整理局長に就任しましたが、1959年には春秋会事件に伴い辞職しています。1965年には図書館短期大学の学長に就任し、1969年には東洋大学の教授兼図書館長にまで昇進します。1973年には勲二等瑞宝章を授与され、その後1975年から1980年まで鶴見大学の教授及び図書館長として活躍しました。岡田は2001年に逝去し、死後に従三位に叙位されました。

業績と考え方

岡田温は、特に図書館界における収集家への深い理解や敬意を表していました。国立国会図書館『図書館研究シリーズ』において彼は、愛書家や蔵書家が集めるコレクションの重要性について述べた文章があり、個々の書籍は単体ではあまり価値がないかもしれないが、全体として見ることで得難い価値が生まれると説明しています。これは彼の図書館学に対する深い洞察を示すものであり、彼自身が知識の集積を重視していたことが伺えます。

家族

岡田の息子、岡田靖も図書館情報学者であり、鶴見大学の名誉教授として知られています。彼の業績は父親の影響も色濃く受け継がれていると言えるでしょう。

著書

岡田はたくさんの著作も残しており、その中で「図書館年鑑」や「世界の図書館」といった本が有名です。また、「旧上野図書館の収書方針とその蔵書」と題した論文も発表しており、図書館運営に関する考察を深めています。彼の業績は、図書館界だけでなく、多くの研究者や実務者に影響を与え続けています。

参考文献

岡田温の業績や生涯についての詳細は、様々な文献に記されています。彼の影響力は今なお図書館学の分野で感じられ、岡田の名はその業績と共に後世に語り継がれています。

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