松本喜一

松本喜一

松本喜一（まつもと きいち、1881年8月12日 - 1945年11月13日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の官僚であり、教育者です。埼玉県秩父郡の出身で、東京高等師範学校の教授、そして帝国図書館長を歴任しました。彼の経歴は、教育界と図書館界の両方にまたがっており、その活動は多岐にわたります。

教育者としての松本喜一

松本は、第二高等学校を経て、1906年に東京帝国大学文科大学哲学科を卒業しました。その後、山口県萩中学校教諭、群馬県師範学校教諭、茨城県女子師範学校長、茨城県師範学校長と、教育者としてのキャリアを積み重ねました。そして、1921年には東京高等師範学校の教授に就任し、教育の分野で重要な役割を果たしました。

帝国図書館長としての松本喜一

1921年、松本は田中稲城の後任として帝国図書館長事務取扱に就任しました。しかし、図書館界との関わりが薄かった松本の就任に対し、当初は反対の声も上がりました。1923年1月11日には、正式に帝国図書館長（2代目）に就任しました。図書館長として、彼は1926年から1927年にかけてアメリカ、ドイツ、イギリスの図書館を視察し、海外の図書館運営の知見を深めました。在任中には、納本規定の整備を働きかけ、書庫や閲覧室などの庁舎増築を行うなど、図書館の機能拡充に尽力しました。

日本図書館協会との関わり

松本は、1928年には日本図書館協会理事長に就任しました。しかし、1930年には社団法人化の推進をめぐり反感を買い、理事長を辞任しました。その後、1931年に理事長に復帰し、1939年までその職を務めました。彼の日本図書館協会での活動は、当時の図書館界に大きな影響を与えました。

死去と後世の評価

松本は、1945年11月13日に帝国図書館長の職務中に亡くなりました。後任には岡田温が就任しました。しかし、後世の図書館界では、松本の強引な手法や独断的な運営が批判的に言及されることが多いです。特に、図書館運営における専門性の軽視や、図書館員とのコミュニケーション不足が問題視されています。

参考文献

岡田温 「松本先生を思ふ」『図書館雑誌』第40巻2号、1946年7月
元帝国図書館長'松本喜一著作一覧

関連項目

徳川訴訟問題 - 1932年に日本図書館協会が紀州徳川家に対して起こした訴訟。松本が理事長を務めていた時期の出来事です。
田中稲城 - 初代帝国図書館長。松本の図書館長就任の前任者です。
* 岡田温 - 第3代帝国図書館長。松本の図書館長就任の後任者です。

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