岡田純一

岡田純一（おかだ じゅんいち）

岡田純一氏は、昭和期に活躍した日本の経済学者です。1921年1月2日、当時の東京市小石川区（現在の東京都文京区）に生を受けました。学問への道を志し、早稲田大学政治経済学部の経済学科に進学、1944年に卒業しました。

卒業後も研究を続け、特に経済学における人間観に関する探求を深めました。その成果は、1966年に関西学院大学から経済学博士号を取得する際の論文「経済学における人間像」として結実しました。

教育者としては、まず白百合短期大学で助教授を務め、次いで聖心女子大学に移り助教授として教壇に立ちました。その後、母校である早稲田大学に招かれ、商学部教授に就任しました。早稲田大学在職中の1988年1月20日、惜しまれつつ67歳でその生涯を閉じました。

岡田氏の研究は、経済学における人間像や経済思想史に深く根ざしていました。アダム・スミスなどの古典派経済学者から現代経済学に至るまで、幅広い時代と思想を対象としました。また、彼の学問的関心は経済学の枠を超え、キリスト教に対する深い理解と関心も持ち合わせていました。

主な著作・編著

岡田氏は、研究成果を多くの著作として発表しました。代表的なものとして、以下の書籍があります。

『経済学における人間像』（未来社、1964年）：博士論文のテーマを深めた主著。
『経済思想史』（東洋経済新報社、経済学入門叢書、1970年）：経済学思想の変遷を概説した入門書。
『経済学者と現代 1 アダム・スミス』（日本経済新聞社、1977年）：特定の経済学者に焦点を当てたシリーズの一冊として、アダム・スミスの思想を論じたもの。
『フランス経済学史研究』（御茶の水書房、1982年）：専門分野の一つであるフランス経済学史に関する研究成果をまとめたもの。

また、キリスト教への関心を示す共編著として、『日本の風土とキリスト教 ハインリヒ・デュモリン師の還暦を記念して』（安斎伸、大谷啓治、高橋亘、角田信三郎と共編、理想社、1965年）があります。

主な翻訳

海外の優れた経済学文献を日本に紹介することにも尽力し、多数の重要な翻訳を手がけました。主な翻訳書は以下の通りです。

クレマン・メルテン『社会経済学入門』（ドン・ボスコ社、1955年）
アンドル・ピェートル『マルクス体系の再検討 マルクスとマルクス主義』（理想社、1959年）
アンリ・ロレ『労働・労働者と教会』（ドン・ボスコ社、カトリック全書、1961年）
エルネスト・マンデル『現代マルクス経済学』全4巻（坂本慶一、西川潤と共訳、東洋経済新報社、1972年 - 1974年）：国際的に評価の高いマルクス経済学の著作。
コリソン・ブラック 他編著『経済学と限界革命』（早坂忠と共訳、日本経済新聞社、1975年）：経済学史上の重要な変革期を扱った文献。
サミュエル・ホランダー『アダム・スミスの経済学』（大野忠男、加藤一夫、斎藤謹造、杉山忠平と共訳、東洋経済新報社、1976年）：アダム・スミス研究の重要な著作。

岡田純一氏は、教育者として後進の育成に尽力するとともに、経済学における人間観、経済思想史、フランス経済学史の研究者として、また海外の学術文献の翻訳者として、日本の経済学界に多大な貢献を残しました。

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