岡部長備

岡部長備（おかべ ながとも）の生涯

岡部長備は江戸時代中期から後期にかけて活躍した大名で、和泉国岸和田藩の第8代藩主でした。彼の官位は従五位下美濃守であり、岸和田藩岡部家の9代目としてその名を歴史に刻んでいます。

幼少期と藩主就任

長備は、7代藩主である岡部長修の長子として岸和田に生を受けました。彼の幼名は富三郎で、藩の未来を担う期待が寄せられていました。安永5年（1776年）、長備は世子に任命され、同じ年の8月18日に父の隠居を受けて藩主に就任しました。藩主となった当初、長備は家督を継ぐものの、その時代は厳しい状況にありました。

天明の大飢饉と藩内の混乱

就任後すぐに、長備は天明の大飢饉の影響を受けます。この飢饉は藩内での凶作を引き起こし、天明2年（1782年）8月には藩民からの強訴が頻発しました。こうした困難に直面しながらも、長備は藩の安定を図るため尽力していました。彼の治世は、多くの試練に彩られていたことがわかります。

政治的な変動と影響

天明7年（1787年）には、老中として権勢を誇っていた田沼意次が失脚します。その影響を受け、長備は遠江国相良城の破却を行いました。藩内の政治情勢は変化を続け、長備もその波に飲み込まれながら自らの政治を支え続ける必要がありました。彼の活動は、江戸時代の政治の不安定さを反映しています。

短命と家族

享和3年（1803年）11月5日、長備は早世した長男・長周の亡き後を追うようにしてこの世を去ります。彼の死去に伴い、家督は次男の長慎が引き継ぎました。岡部家の系譜に名を刻む長備ですが、彼の家族もまた、悲劇的な運命に翻弄されていました。

家族構成

長備の父は岡部長修（1746-1796）、母の名前は不詳です。妻は青山忠高の娘で、彼には3人の息子と数人の娘がいました。長男の長周は1786年生まれで、享年18で早逝しました。次男の長慎は1787年生まれ、1859年まで生き延びました。また、三男の盛勝や、娘たちとの結婚に関するエピソードも残されています。特に、長備の家族には土井利義の正室となった栄香院や、岡部長住の娘である渡辺則綱の正室もいます。

墓所

長備の墓所は東京都新宿区の済松寺にあり、そこには彼の生涯を偲ぶ人々が訪れることも多いです。彼の短い人生とその背景、藩主としての苦悩が感じられる場所です。彼の生涯は、江戸時代の大名たちが直面した現実の厳しさを物語っています。

長備の治世は貧しさや混乱の中であったため、彼の成し遂げた業績は小さいかもしれませんが、岡部家にとっては重要な一ページであることは間違いありません。

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