岡部雄三

岡部 雄三について

岡部雄三（おかべ ゆうぞう、1952年2月7日 - 2009年2月22日）は、日本における比較文学及び比較文化学の重要な学者として知られています。彼の研究領域は、多岐にわたりますが、特にヨーロッパの神秘思想やドイツの神秘思想に焦点を当てていました。特にヤコブ・ベーメやパラケルスス、マイスター・エックハルトといった思想家についての深い考察が評価されています。

略歴

岡部は山梨県で生まれ、1975年に東京大学教養学部を卒業後、1977年に同大学院で比較文学・比較文化専門の修士課程を修了しました。彼の学問的なキャリアは、大阪大学における助手職から始まり、その後講師、助教授を経て、最終的には東京大学大学院総合文化研究科の教授に就任しました。

1982年から1984年にかけては、日本学術振興会の特定国派遣研究者としてスイスのチューリッヒ大学にて研究を行い、国際的な視野を広げました。2009年に逝去するまで、彼は日本における神秘思想の研究をリードし、多くの後進に影響を与えました。

主な著書

岡部の著作は多岐にわたりますが、主な単著として以下の2冊があります:

• - 『ヤコブ・ベーメと神智学の展開』（岩波書店、2010年）
• - 『ドイツ神秘思想の水脈』（知泉書館、2011年）

さらに、共編著や翻訳書も含めて、多数の著作を残しています。たとえば、1991年に発表された「宗教のことば　－ロゴスと宇宙の響き－」や1999年の「ヤコブ･ベーメにおける創造と悪」などがあり、彼の深い思索が表れています。

翻訳作品

岡部は翻訳にも力を注ぎ、『キリスト教神秘主義著作集』シリーズのいくつかを手がけています。特に、第15巻の「キエティスム」、第16巻の「近代の自然神秘思想」、第14巻の「十七・十八世紀のベーミストたち」など、多くの作品が教文館から出版されています。これらの翻訳は、神秘思想の研究をより広める手助けをしました。

研究の影響

岡部雄三の研究は、比較思想や比較宗教の分野において新たな視点を提供しました。彼のアプローチは、西洋の神秘思想と東洋思想との対話を促進し、思想家たちの考え方をより深く理解する手助けとなりました。特に、ヤコブ・ベーメに関する彼の研究は、多くの学者や学生に影響を与え、今なお新たな研究の基盤となっています。

彼の穏やかでありながらも深い哲学的探求が、今後もなお多くの人々に刺激を与えていくことでしょう。

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