岩井半四郎 (4代目)

四代目 岩井半四郎

四代目岩井半四郎（よだいめ いわい はんしろう、1747年 - 1800年）は、江戸時代中期に活躍した歌舞伎役者です。特に女形として知られ、岩井家の礎を築きました。彼の芸名の一つに杜若があり、屋号は初め「雑司ヶ谷屋」、後に「大和屋」としても知られています。

生い立ちと初期のキャリア

岩井半四郎は江戸の人形遣い辰松重三郎の子どもとして誕生しました。若い頃から歌舞伎への興味を持ち、二代目松本幸四郎の弟子となります。彼は1754年11月に中村座で松本長松を名乗り、わずか七歳で初舞台を踏みました。松本幸四郎が四代目市川團十郎を名乗った後、長松は師匠の前名を受け継ぐことになります。特に四代目團十郎は、女形の弟子としては七蔵のみを抱えていました。

名跡の継承と変遷

当時、上方には初代半四郎の孫娘が存在しており、彼女は初代中村富十郎の妻にあたりましたが、三代目半四郎の死去とともに、富十郎は岩井半之助に半四郎の名を継がせようとします。これにより、1764年に半之助は上方でその名を名乗りました。しかし、三代目半四郎にはおまつという娘がいて、彼女は四代目團十郎の妻となりました。このため、團十郎とおまつは弟子の七蔵に名跡を受け継がせることを望みました。

結果として、1765年11月、七蔵は岩井家に養子入りし、四代目岩井半四郎を襲名します。一方、富十郎の養子となった半四郎は中村新五郎と改名しました。この名跡は元々立役としてのものでしたが、四代目の代から女形としての基礎を築くことになります。この流れは、五代目、六代目、七代目へと続いていくのです。

岩井半四郎の特徴と実績

岩井半四郎は、女形でありながらも気性が荒かったとの伝説が残っていますが、彼自身の風貌は丸顔で愛嬌があり、「お多福半四郎」と呼ばれることもありました。また「白金の太夫」や「目黒の太夫」といった愛称でも知られています。特に彼は生世話に優れ、役柄の中でも「三日月お仙」は彼の当たり役として有名であり、これは後の五代目半四郎にも受け継がれています。

さらに、舞踊も得意で、「手習子」という長唄の所作事を初演し、今にその名が残るほどの業績を残しました。彼は江戸を代表する女形として非常に高い人気を誇り、三代目瀬川菊之丞と「女方の双璧」と称されたことでも知られています。彼の影響は歌舞伎界に大きな足跡を残しており、今日でも多くのファンに支持されています。

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