岩井半四郎 (10代目)

十代目 岩井 半四郎の生涯と業績

十代目岩井半四郎（いわい はんしろう）は、1927年に東京で生まれ、2011年に84歳で亡くなった日本の俳優、歌舞伎役者です。彼は日本舞踊家の花柳壽太郎の子として生まれ、幼少期から芸能界に触れる環境にありました。彼の本名は仁科周芳であり、屋号は大和屋、著名な俳名に杜若、紫若、扇蝶があります。彼は明治大学の文芸科を卒業し、その後、音楽や舞台芸術の世界に進出しました。

俳優としての活動

彼は1935年、有楽座で仁科周芳として初めて舞台に立ちます。また、1939年には二代目市川猿之助の門弟となり、二代目市川笑猿を名乗りました。この年には『隅田川続俤』の「法界坊」で重要な役どころを演じ、多くの観客を魅了しました。1951年には歌舞伎座で十代目岩井半四郎を襲名し、日本舞踊岩井流の一門会を組織化を行いました。このような活動を経て、彼の表現力と技術は次第に高まり、特に敵役や道化役、若衆役など、多様なジャンルで評価されました。

映画とテレビドラマでの名演

半四郎は多くの映画やテレビドラマにも出演しました。映画作品では『虎の尾を踏む男達』（1945年）や『源氏物語』（1961年）などで注目され、日本映画の黎明期から活躍を続けました。特に、1960年代から1970年代にかけてはテレビドラマにも出演し、数々の話題作に出ることでその名を広く知られるようになりました。特筆すべき作品としては『雁』や大河ドラマ『源義経』があり、彼の強烈な個性と駆け引きの巧みさが光ります。

私生活と家族

私生活では、元・松竹少女歌劇団の女優・月城彰子と結婚し、一男三女をもうけました。彼は家族を大切にし、特に亡妻の月城が2010年に肺癌で亡くなるまで寄り添う関係を築きました。また、彼の家族にも芸能界で活躍する人が多く、長女の岩井友見や次女・仁科亜季子とその家族が、それぞれ別の形で演技や音楽の世界で名を馳せています。

最後の舞台と遺産

彼は2011年12月25日に多臓器不全で亡くなるまで、数々の舞台や作品で素晴らしい演技を見せていました。彼の最後の舞台は1997年、国立劇場での『壇浦兜軍記』でした。戒名は圓覚院慈雲良周居士で、「悟りを開いた優しい方」という意味が込められています。彼の遺した芸術は、歌舞伎界において大きな影響を及ぼし、今もなお多くのファンに愛されています。本業だけでなく、レコード歌手としての活動や楽曲の作詞も手がけ、その幅広い才能は後世に受け継がれています。半四郎の業績は、今後も多くの人に記憶され続けることでしょう。

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