岩井圭司

岩井圭司氏は、1961年生まれの日本の医学者、精神科医、そして臨床心理学の教育者です。その専門は、精神病理学、心的外傷論（トラウマ論）、そして医学史・医学論に及びます。神戸大学で博士（医学）の学位を取得し、現在は大阪人間科学大学の教授を務めています。以前は兵庫教育大学大学院の教授として、臨床心理学コースで教鞭を執っていました。

岩井氏は、精神保健指定医、精神科専門医・指導医、臨床心理士、公認心理師という複数の資格を有しており、その幅広い知識と経験を生かして、多岐にわたる分野で活躍しています。特に、阪神・淡路大震災（1995年）以降は、災害後の精神保健活動、学校防災、精神的被害の民事賠償裁判における評価、そして犯罪被害者支援に尽力してきました。これらの活動を通じて、PTSDをはじめとする心的外傷（トラウマ）関連の病態の臨床と研究に深く関わっています。

岩井氏の研究は、中井久夫氏の指導の下で培われました。また、岳父は阪本健二氏であり、医学界における深い繋がりが窺えます。

来歴

岩井氏は大阪市で生まれ、奈良市で小学校時代を過ごした後、大阪教育大学附属天王寺中学校に進学しました。その後、大阪教育大学教育学部附属高等学校天王寺校舎を卒業しました。中学校、高校時代には、山中伸弥氏や世耕弘成氏といった著名人が同級生や後輩として在籍していました。

1986年に神戸大学医学部医学科を卒業後、神戸大学医学部附属病院で研修医としてキャリアをスタートさせました。その後、兵庫県立光風病院（現・兵庫県立ひょうごこころの医療センター）で医師として勤務し、1994年には神戸大学医学部附属病院の助手（教育）として精神科・神経科に所属しました。

1995年には阪神・淡路大震災で被災し、この経験がその後の研究活動に大きな影響を与えました。1998年には兵庫県精神保健協会こころのケアセンターの医師となり、1999年には同センターの課長と兵庫県立精神保健福祉センターの課長、さらには兵庫県保健部障害福祉課の主査を兼務しました。2000年には兵庫教育大学学校教育学部の助教授となり、2004年には同大学院の教授に昇進しました。

兵庫教育大学在職中には、臨床・健康教育学系の長、大学院連合学校教育研究科の副研究科長、人間発達教育専攻長などを歴任しました。そして、2023年からは大阪人間科学大学人間科学部の教授として、現在も教鞭を執っています。

学会活動

岩井氏は、日本精神病理学会の評議員および編集委員を務めています。また、日本トラウマティック・ストレス学会では理事を務め、2015年6月から2017年6月にかけては会長として学会を牽引しました。

著書・論文

岩井氏は、多くの書籍や論文を執筆しており、その研究成果は広く共有されています。

分担執筆
『災害とトラウマ』（こころのケアセンター編、みすず書房、1999年）
『心的トラウマの理解とケア 第2版』（外傷ストレス関連障害に関する研究会編、じほう、2006年）
『復興と支援の災害心理学』（藤森立男・矢守克也編、福村出版、2012年）

編集
『精神療法の旅路―阪本健二論文集』（星和書店、1999年）

論文
「精神分裂病における知覚変容と妄想知覚」（『精神神經學雜誌』、1993年）
「PTSD訴訟事例に関して : 精神科医にできることとしなければならないこと」（『精神神經學雜誌』、2006年）

関連人物

岩井氏の研究活動に影響を与えた人物として、中井久夫氏の名前が挙げられます。また、山口直彦氏や安克昌氏も、関連人物として知られています。

関連項目

岩井氏の研究テーマに関連するキーワードとして、精神医学、精神病理学、トラウマ、心的外傷後ストレス障害（PTSD）などが挙げられます。

外部リンク

岩井圭司 - researchmap
岩井圭司 (iwaik) - note
岩井圭司（人間発達教育専攻 臨床心理学コース） - ウェイバックマシン
岩井圭司（学校教育実践学専攻 学校教育臨床連合講座） - ウェイバックマシン
日本トラウマティック・ストレス学会 理事会・各種委員会
(公社)ひょうご被害者支援センター 役員

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