岩井梅雪

岩井梅雪（いわい うめゆき）は、生没年不詳の浮世絵師であり、明治時代に大坂を中心に活動しました。

来歴

師匠は歌川芳梅であり、大坂出身で、俗称は梅次郎とされていました。岩井梅雪の作画期は明治の初め頃で、中判の役者絵を多く手掛けました。役者絵とは、当時の人気役者の姿を描いた浮世絵であり、庶民の間で広く親しまれていました。彼の作品は、役者の特徴を捉えつつ、鮮やかな色彩と繊細な筆致で描かれており、当時の大坂の演劇文化を反映していると言えるでしょう。

しかし、詳しい経歴については不明な点が多く、謎に包まれています。役者絵師として活動後、彼は絵筆を置き、伊予国宇和島（現在の愛媛県宇和島市）に移り住み、料理屋を開業したという説があります。もし事実であれば、浮世絵師から料理屋の主人へと転身を遂げた、異色の経歴の持ち主と言えるでしょう。もっとも、この説を裏付ける確かな資料は今のところ見つかっていません。

岩井梅雪に関する研究はまだ十分に進んでいるとは言えず、今後の新たな資料の発見が待たれます。彼の作品は、浮世絵研究者や愛好家にとって、貴重な研究対象として注目されています。

参考文献

* 日本浮世絵協会編　『原色浮世絵大百科事典』（第2巻）　大修館書店、1982年　※111頁

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