日本浮世絵協会

日本浮世絵協会の歴史と役割

日本浮世絵協会は、大正時代から昭和時代にかけて浮世絵の研究と普及に貢献した団体です。その設立から改組に至るまでの経緯を見ていきましょう。

設立の背景と第1次協会

日本浮世絵協会の第1次は1921年、大正10年に設立されました。会長には徳川頼貞氏が、理事長には三原繁吉氏が就任。理事には名だたる浮世絵研究者たちが名を連ねました。彼らは、浮世絵の研究を深めるための基盤を築くために集まりました。当初、協会の事務所は麹町区の麹町一番町に置かれ、ここで浮世絵に関する専門的な議論と研究が行われました。また、同協会は学術誌『浮世絵之研究』を発刊し、1923年までに第19号までが刊行されています。

昭和時代の発展

第2次の日本浮世絵協会は1946年、昭和21年に設立されました。この時の会長には浅野長武氏が就任し、理事長には藤懸静也氏、常任理事には楢崎宗重氏が就任しました。戦後の混乱を背景に新たに発足した協会は、浮世絵の保存と研究を再び活性化させる役割を担います。

その後、第3次日本浮世絵協会が1962年、昭和37年に設立され、会長には高橋誠一郎氏、理事長には楢崎宗重氏が選任されました。この会は、『浮世絵芸術』という機関誌を発行し、さらなる研究活動を支援しました。

名誉会長と国際浮世絵学会の発足

1982年、昭和57年に高橋誠一郎氏が逝去すると、楢崎宗重氏が新しい会長に就任しました。その後、1998年、平成10年には日本浮世絵協会の活動が国際的に進展し、学習院大学で国際浮世絵学会の創立大会が行われました。これにより、協会は国際浮世絵学会へと改組され、楢崎氏は名誉会長、山口桂三郎氏が会長、諏訪春雄氏が理事長に就任しました。

重要な成果と貢献

日本浮世絵協会はその歴史の中で、浮世絵に関する多くの研究を推進し、国内外の研究者とコレクターを結びつける役割を果たしました。時代の変化とともに、組織は進化を遂げ、特に国際浮世絵学会としての活動は、浮世絵の国際的な理解と評価を高めるための重要なステップとなっています。

参考文献

日本浮世絵協会の活動や研究成果に関する資料は多く存在します。「浮世絵芸術」や「浮世絵の基礎知識」、「資料による近代浮世絵事情」など、研究に役立つ文献が数多く刊行されています。これらは、浮世絵の深い理解を促し、文化的遺産の重要性を広く伝えるための鍵となっています。

このように、日本浮世絵協会は、日本の伝統文化である浮世絵の研究と普及に大きく貢献してきた団体であり、その活動は今も多くの人々に影響を与えています。

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