岩井淳 (歴史学者)

岩井淳氏は、1956年岐阜県に生まれ、西洋史、特にイギリス近世・近代史を専門とする日本の歴史学者です。静岡大学名誉教授の称号を持ちます。彼の研究は、ピューリタン革命や複合国家という概念を中心に展開され、その分野における第一人者として知られています。

岩井氏は、1980年に静岡大学人文学部を卒業後、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程へと進み、1990年に単位取得退学しました。同年、静岡大学人文学部助教授に就任し、以後32年間、同大学にて教鞭を執りました。2012年の改組により静岡大学人文社会科学部教授となり、2016年には、論文「ピューリタン革命の世界史：国際関係のなかの千年王国論」で首都大学東京から博士（史学）の学位を授与されました。2022年3月に静岡大学を定年退職されています。

2023年3月21日に開催された退職記念シンポジウムでは、岩井氏の研究テーマが改めて示されました。主なキーワードは、「千年王国」と「複合国家」です。これらに加え、高大連携を含む歴史教育への貢献も重要なテーマとして挙げられています。

岩井氏の著作は多岐にわたり、単著では、『千年王国を夢見た革命：17世紀英米のピューリタン』(1995年)、『ピューリタン革命と複合国家』(2010年)、『ピューリタン革命の世界史：国際関係のなかの千年王国論』(2015年)などがあります。2024年8月には、『ヨーロッパ近世史』が出版予定です。

編著としては、『複合国家イギリスの宗教と社会：ブリテン国家の創出』(2012年)があり、共編著では、岩井淳・大西晴樹『イギリス革命論の軌跡：ヒルとトレヴァ＝ローパー』(2005年)、岩井淳・竹澤祐丈『ヨーロッパ複合国家論の可能性：歴史学と思想史の対話』(2021年)などがあります。

さらに、共編として、岩井淳・指昭博『イギリス史の新潮流：修正主義の近世史』(2000年)、岩井淳・山﨑耕一『比較革命史の新地平：イギリス革命・フランス革命・明治維新』(2022年)、岩井淳・道重一郎『複合国家イギリスの地域と紐帯』(2022年)などを手掛けています。翻訳書では、リチャード・キレーン『図説スコットランドの歴史』(2002年)、デイヴィッド・キャナダイン編著『いま歴史とは何か』(2005年)、デイヴィッド・アーミテイジ『帝国の誕生：ブリテン帝国のイデオロギー的起源』(2005年)、『独立宣言の世界史』(2012年)などの翻訳に携わっています。

これらの著作や研究活動を通して、岩井淳氏は、西洋史研究、特にイギリス近世・近代史における重要な視点を提供し、歴史学の発展に大きく貢献しました。また、教育者としても多くの学生を育成し、歴史教育の重要性を社会に広める活動も行ってきました。彼の業績は、今後も歴史研究における重要な基盤として、後世に受け継がれていくでしょう。

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