岩倉城 (阿波国)

岩倉城の概要

岩倉城（いわくらじょう）は、徳島県美馬市脇町田上に所在していた城跡です。標高111メートルの河岸段丘の端に位置し、脇城跡の約1キロ西にあります。その立地は、周囲の自然と相まって歴史の深さを感じさせる場所です。

歴史的背景

築城年代については諸説ありますが、一つの説によると、文永4年（1267年）に小笠原長房によって城が築かれたとされています。このことから、岩倉城は鎌倉時代にその起源を持つと考えられています。

戦国時代に入ると、三好康長の子、三好康俊が城の主となり、地域の支配を担いました。彼は脇城と連携し、周辺の支配権を確立していきます。しかし、その後長宗我部氏が城を占拠し、1585年には豊臣秀吉の四国攻めにより豊臣秀次らが城を攻め落とし、岩倉城は陥落しました。

そして同年、蜂須賀家政が阿波国に入ったのち、脇城が阿波九城として残され、岩倉城は廃城となりました。

遺構と遺産

岩倉城跡の特筆すべき点は、北側に通る徳島自動車道の建設に伴う発掘調査から出土した遺構です。この調査により、空堀状の溝や犬走のような遺構が確認されました。本丸に該当する曲輪は、東西約17メートル、南北約39メートルの広さを誇り、北側には幅約9メートルの堀切が設けられています。

さらに、本丸の周辺には観音坊や丹波ノ坊といった六坊と呼ばれる出城が配されており、これらの遺構は当時の防御体制を伺わせる重要な証拠となっています。

また、城跡の北側には真楽寺（真言宗大覚寺派）があります。これは岩倉城が廃城となった後、六坊の一つである北ノ坊に建立されたとも伝えられています。このような背景からも、岩倉城は単なる城跡にとどまらず、歴史的な価値を有する場所であることがわかります。

まとめ

岩倉城はその歴史的背景と遺構の存在から、徳島県における重要な文化遺産として位置付けられています。脇城との関連性や、戦国時代における地域の支配状況など、様々な時代の変遷を感じることができるスポットです。この城跡は、今後も歴史研究や観光の対象として多くの人々に親しまれることでしょう。

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