三好康長

三好康長の生涯

三好康長（みよし やすなが）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名です。阿波岩倉城主、河内高屋城主として知られ、諱は康慶（やすよし）とも称しました。通称は孫七郎、山城守。剃髪して山城入道、入道号は咲岩（しょうがん）と号しました。フロイス書簡では咲岩は「センガン」と読まれています。

三好政権での活躍

康長は三好氏の一門衆であり、系譜上は三好長秀の子とされます。しかし、天野忠幸は康長が山城守を名乗っていることから、三好一秀の子あるいは孫である可能性を示唆しています。兄に三好元長がおり、甥には三好長慶がいます。しかし、康長の官位が長慶よりも遅いことから、年下と考えられています。

1532年、兄・元長の命で柳本賢治の遺児を擁する神二郎を京都で自刃させます。これがきっかけで元長と細川晴元が対立し、元長は出家して海雲と号し、晴元に謝罪することになりました。同年、元長が亡くなると、康長は当主となった長慶に従います。長慶の弟である三好実休を支え、阿波を拠点に篠原自遁・加地盛時らと共に活動しました。

1542年には大和国で興福寺の学侶と春日大社六方衆の争いを和解させ、1558年には実休らと共に室町幕府13代将軍・足利義輝、細川晴元と対峙した長慶を支援しました。1560年には長慶・実休兄弟の和解を仲介するなど、三好一族の中で重要な地位を占めていました。1562年の久米田の戦いでは活躍しましたが、この戦いで実休が戦死しました。

実休の死後、畠山高政らが長慶の居城である河内飯盛城を包囲すると、康長は三好義興、松永久秀、安宅冬康らと共に長慶を救援し、高政を破りました。その後、康長は河内高屋城を守備することになります。高屋城を拠点とし、実休の遺児である三好長治を支える一方で、茶人としても活動し、津田宗達・宗及父子の茶会に度々参加しました。

三好家の分裂と信長包囲網

1564年に長慶が亡くなると、三好家の家督は甥の三好義継が相続しますが、三好三人衆と松永久秀が対立し、家中が分裂します。康長は三人衆側に同調し、久秀や高政と抗争を繰り返しました。しかし、康長は阿波を本拠として、背後から支援する形をとることが多かったようです。1566年には伊勢国の北畠具教が家臣の内応に怒り、人質を殺害する事件が発生し、康長は上芝の戦いに参戦、堺を包囲しました。しかし、1567年には義継が三人衆から離れて久秀と手を結び、康長も一時的に久秀側につきますが、すぐに反目します。

1568年、康長は三人衆が担いだ14代将軍・足利義栄の将軍就任の祝賀会に参加します。この頃には義継の元を離れていたと考えられます。同年、織田信長が足利義昭を擁立して上洛すると、三人衆の軍は崩壊。康長は阿波へ逃れましたが、すぐに反撃を開始し、1569年には義昭を襲撃しました。その後、織田軍との戦いが激化し、康長は野田城・福島城に籠城しますが、信長と和睦しました。1571年には松永久秀・三好義継と共に木津城を攻め、1572年には信長包囲網に加わります。

織田政権下での活動

1573年、篠原長房が敗死し、義昭が追放されると、三好宗家は滅亡します。康長は信長に降伏し、赦免されました。その後、信長に重用され、本願寺との和睦交渉を担当しました。1576年、本願寺との和が破れると、康長は信長軍に加わり、塙直政の与力として本願寺包囲網に参加します。1578年頃には康慶と改名しました。

1581年には四国に渡り、長宗我部氏に属していた子の三好康俊を織田側へ寝返らせました。1582年には信長から長宗我部元親討伐を命じられ、阿波に渡ります。しかし、本能寺の変で信長が死去したため、遠征は中止となり、康長は河内に帰還しました。

本能寺の変後

本能寺の変後、康長は羽柴秀吉に接近し、秀吉の甥・治兵衛（三好信吉、のちの豊臣秀次）を養子に迎えました。1584年には津田宗及の茶会に出席、1585年には秀吉に降伏した元親を出迎えています。康長の没年は不明で、その後の消息も不明です。キリスト教に帰依したとも伝えられています。

康長は激動の戦国時代を生き抜いた武将であり、三好政権の中核を担い、織田信長にも重用された人物です。その生涯は波乱に満ちており、当時の情勢を色濃く反映しています。

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