岩内1号墳

岩内1号墳について

岩内1号墳は和歌山県御坊市岩内の小丘陵に位置する古墳で、古代日本の重要な遺跡として知られています。この古墳は方墳の形状を持ち、周囲には9基の古墳が存在する岩内古墳群を形成していますが、現在残存しているのは1号墳とその北西に位置する3号墳のみです。古墳の発掘調査は1949年及び1979年に実施され、重要な出土品が確認されています。

古墳の特徴

1号墳の外形は方形で、一辺は約19.3メートルです。墳丘は版築法によって築かれ、北、東、西の側面には周溝が設けられています。埋葬施設は横穴式の石室で、南側に開口しています。玄室には漆塗木棺の破片や、六花形の鉄の棺飾金具、それに銀線で作られた蛭巻大刀などが出土しています。

この古墳の築造時期は、古墳時代末期の7世紀中頃から後半とされ、高い社会的地位を持つ人物の埋葬場所と考えられています。特に、漆塗木棺や豪華な副葬品の出土からは、非常に重要な人物の墓とされ、これにより有間皇子との関連性が指摘されています。

有間皇子との関連

有間皇子は第36代孝徳天皇の皇子で、歴史的には紀伊の地での処刑に関与していることが記録されています。彼は謀反の嫌疑をかけられ、紀伊藤白坂にて絞首刑にされたとされています。このような経緯から、岩内1号墳が彼の墓であるとする説が有力視されていますが、確定的な証拠はありません。

発掘歴

1949年の発掘結果では、漆塗りの木棺や大刀、金具などが見つかり、その後1979年にはさらなる調査が行われました。その中で、1号墳が和歌山県指定史跡に認定され、同年中に3号墳も追加されました。2013年には、出土した遺物が県の文化財に指定されるなど、歴史的な価値が認められています。

埋葬施設の構造

1号墳の埋葬施設は両袖式の横穴式石室で、全長は5.9メートル、主な玄室のサイズは長さ2.48メートル、幅2メートルです。この石室は初めての埋葬後に再配置が行われた形跡があり、非常に高い工事技術が駆使されています。さらに、石室には階段のような構造物も見つかっており、二次的な埋葬が行われたことを示しています。

岩内3号墳について

1号墳の北西に位置する岩内3号墳も、岩内古墳群に含まれており、こちらも重要な古墳です。円形で直径約28メートル、周囲に幅約5メートルの周溝があります。この古墳も1979年に発掘され、多数の副葬品が確認されています。

文化財としての評価

岩内1号墳と3号墳は、和歌山県の文化財として評価されています。出土品は御坊市歴史民俗資料館に保管され、一般公開されるなど、地域の歴史を学ぶ上で貴重な資料となっています。これらの遺跡は、古代日本の墓制や社会構造を理解するための重要な手掛かりを提供しており、今後の研究にも期待が寄せられています。

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