岩崎渉

岩崎渉氏：バイオインフォマティクス研究者と小説家の二足のわらじ、そして突如の研究室閉鎖騒動

岩崎渉氏は、1983年3月生まれの日本のバイオインフォマティクス研究者であり、小説家でもあります。東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻を拠点に、約50名規模の研究室を主宰していました。しかし、2024年4月、突如として大学院生の新規募集停止と研究室ホームページの閉鎖が発表され、大きな波紋を呼びました。

輝かしい経歴と多様な活動

岩崎氏は、日本学術会議の若手アカデミー代表や日本バイオインフォマティクス学会長を歴任するなど、国内外で高い評価を得ている若手研究者です。2019年には、日本学術会議がG7の学術会議共同声明を安倍晋三内閣総理大臣に手交する際に同席し、日本の科学政策に深く関わっていました。また、日本の科学の現状に関する彼のコメントが掲載されたNature誌の記事は、国会でも取り上げられるなど、大きな影響力を持っていました。

研究活動と並行して、岩崎氏は小説家としても活動し、2022年1月7日から2024年4月6日にかけて、直木賞作家との共作で雑誌「文藝」に小説を連載していました。研究者と小説家という、一見すると異なる分野での活躍は、彼の多様な才能と知的探究心の一端を垣間見せています。

主要な研究業績

岩崎氏の研究は、学術界において高い評価を受けており、NHKニュースやNature Biotechnology誌で取り上げられるなど、その成果は広く知られています。主な研究業績としては、以下の3点が挙げられます。

1. 環境DNAからの魚類同定のための配列データベース作成: 環境中に含まれるDNAから魚類の種類を特定するためのデータベースを構築しました。
2. 細胞系譜・系統樹計算の高速化: 細胞の系統関係や進化過程を解析するための計算を高速化することで、より効率的な研究を可能にしました。
3. 機械学習による細菌進化予測: 機械学習を用いて、細菌の進化を予測する手法を開発しました。

彼の研究室では、100報以上の発表論文について、全て日本語で簡潔な解説が提供されており、研究成果の分かりやすさとアクセシビリティの高さがうかがえます。

研究室閉鎖騒動とその後

2024年4月初旬、岩崎氏の研究室ウェブサイトとResearchmapが突如閉鎖されました。東京大学先端生命科学専攻のホームページからも彼の名前が削除され、さらに、岩崎氏の指導の下でグローバルサイエンスキャンパス優秀賞を受賞した高校生の写真と名前も、新領域創成科学研究科のホームページから削除されました。

そして4月6日、定年ではないにもかかわらず、2025年度の大学院入試において修士課程と博士課程の両方の学生募集停止が発表されました。この一連の出来事は、日経バイオテクによって報道され、大きな注目を集めました。東京大学広報課は研究不正を否定する一方、詳細な説明は避けています。

この騒動の背景には、様々な憶測が飛び交っていますが、真相は未だ不明です。しかし、優れた研究業績を残し、多方面で活躍してきた岩崎氏の突然の研究室閉鎖は、日本の学術界に大きな衝撃を与えました。今後の展開が注目されます。

経歴

2001年3月：筑波大学附属駒場中学校・高等学校卒業
2005年3月：東京大学理学部生物化学科卒業、東京大学理学部生物情報科学学部教育特別プログラム修了
2007年3月：東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻修士課程修了
2009年3月：東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻博士後期課程修了、博士（科学）取得
2009年4月-2014年3月：東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻助教
2011年7月-：東京大学大気海洋研究所地球表層圏変動研究センター生物遺伝子変動分野講師
2014年4月-2021年3月：東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻准教授
2021年4月-：東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻教授

その他、複数の東京大学関連機関を兼務。

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