岩戸山古墳

岩戸山古墳

岩戸山古墳は、福岡県八女市に所在する、前方後円墳です。この古墳は、八女丘陵に点在する数多くの古墳群、いわゆる八女古墳群を構成する古墳の一つであり、その中でも最大規模を誇ります。古墳の築造は6世紀前半、古墳時代後期と推定されています。その歴史的価値から、国の史跡にも指定されています。

概要

八女古墳群は、八女丘陵の東西約10数キロメートルにわたって広がり、5世紀から6世紀にかけて築かれた古墳が約300基も存在します。その中には、前方後円墳が12基、装飾古墳が3基含まれており、岩戸山古墳はその中でも特に重要な存在です。

岩戸山古墳は、東西を主軸とし、後円部が東を向いています。墳丘は2段に造成されており、北東隅には「別区」と呼ばれる一辺43メートルの方形状の区画があるのが特徴です。この別区は、他の古墳にはあまり見られない特異な構造です。

築造年代は、出土した須恵器の年代観から6世紀前半と推定されており、被葬者であると推測される筑紫君磐井に関する記録とも符合します。古墳の内部構造については、電気探査の結果から横穴式石室と推定されていますが、詳しい状況はまだ解明されていません。墳丘の傍らには神社（大神宮）が鎮座していますが、元々は後円部の墳頂に位置していました。

古墳の墳丘、周堤、別区からは、この地域独特の石製品である「石人石馬」が100点以上も出土しています。その数は他の古墳を圧倒的に上回り、種類も豊富です。これらの石製品は、人物、動物、器財の3種類に大別され、実物大に近いサイズで作られているのが特徴です。現在、別区にはこれらのレプリカが縮小されて設置されています。

岩戸山古墳は、1955年12月23日に国の史跡に指定されました。その後、1978年3月24日には、史跡の追加指定・統合指定が行われ、指定名称が「八女古墳群」に変更されました。

墳丘

古墳総長：170メートル以上
墳丘長：約135メートル
後円部
直径：約60メートル
高さ：約18メートル
前方部
幅：約92メートル
高さ：約17メートル
別区
一辺43メートルの方形

古墳の周囲には、幅20メートルの周濠・周堤が巡らされています。

被葬者

被葬者は、6世紀初頭に北部九州を支配していたとされる筑紫君磐井と考えられています。文献資料から被葬者と築造時期を推定できる、日本でも数少ない古墳の一つです。

筑紫君磐井は、『古事記』や『日本書紀』において、反乱を起こした人物として伝えられています（磐井の乱）。また、『筑後国風土記』逸文には、岩戸山古墳の位置や状況に関する記述があり、別区での裁判を思わせる描写も確認できます。同文によると、磐井は生前から墓を築造していましたが、戦いに敗れたため、その墓を放棄したとされています。

かつては、石人山古墳が磐井の墓であるという説が有力でしたが、1956年に森貞次郎が岩戸山古墳を磐井の墓と比定し、それが現在では定説となっています。

関連文化財

石人（東京国立博物館蔵、重要文化財）
石人2点、石靱1点、石盾2点、附石人等残欠57点（八女市所有、岩戸山歴史文化交流館保管、重要文化財）
石馬1点、武装石人頭部1点、石人残欠2点（伝岩戸山古墳出土、八女市正福寺所有、岩戸山歴史文化交流館保管、福岡県指定有形文化財）

関連施設

岩戸山歴史文化交流館 いわいの郷
所在地：八女市吉田1562 - 1
開館時間：午前9時から午後5時15分
休館日：月曜日

交通アクセス

西鉄久留米駅から西鉄バス八女営業所行きに乗車、「福島高校前」下車徒歩4分（350m）
マイカーの場合、九州自動車道八女インターチェンジから6㎞。

脚注

注釈

出典

参考文献
史跡説明板
『岩戸山歴史資料館 展示図録』 岩戸山歴史資料館、2009年。

関連項目

磐井の乱

外部リンク

岩戸山歴史文化交流館いわいの郷
八女古墳群 - 国指定文化財等データベース（文化庁）

この詳細な説明文は、岩戸山古墳の歴史、構造、出土品、そして関連する文化財や施設についての理解を深めるのに役立つでしょう。

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