岩手毎日新聞

岩手毎日新聞の概要

岩手毎日新聞は、1899年2月に創刊された岩手県の地方新聞です。この新聞は、1933年4月に廃刊となるまでの間、地域に密着した報道を行っていました。発行所は盛岡市の紺屋町に位置し、現在の毎日新聞とは無関係です。

創刊時の背景

この新聞は、高橋嘉太郎の創立により誕生し、当初は県議や代議士として知られる彼のリーダーシップの下に運営されました。さらに、旧岩手銀行の頭取であった中村省三が社主として関与し、当時の金融界からの資金援助があったため、その運営は比較的安定していました。岩手毎日新聞は、既存の旧・岩手日報と競合する形で設立され、「民衆新聞」をキャッチフレーズにしていました。こうした姿勢が功を奏し、両紙は同等の購読者数を誇る人気を博しました。

政治的背景と論調

当時の報道は、特に政治的な視点が強く、岩手毎日新聞はすでに確立されていた旧・岩手日報の県庁寄りの報道に対抗する形で、より辛辣な記事を掲載していました。こうしたスタンスは多くの読者から評価されましたが、一方で相手紙に対する批判を繰り返したことで、摩擦も招きました。大正時代には、岡山不衣が主筆として在籍し、彼の指導のもとで宮沢賢治の詩や童話が掲載されました。彼はまた、若手の記者たちに石川啄木について熱心に教え、多くの影響を与えました。

出版社間の対立と訴訟

新聞業界は、旧岩手銀行をバックにする岩手毎日新聞と、盛岡銀行を支援する旧・岩手日報との間に明確な対立がありました。特に、1925年には金田一国士が自身と盛岡銀行に対する岩手毎日新聞の記事に対して告訴を起こしたことで、事態は更に深刻化しました。この訴訟は、結果として主筆の福田祐英が科料を受ける結末となりました。このように、新聞の報道は単なる情報提供にとどまらず、政治的な緊張を高める要因ともなりました。

廃刊の原因

1931年、金融恐慌が発生すると、岩手毎日新聞を支えていた旧・岩手銀行の経営が厳しくなりました。その結果として、発行の支援を失った岩手毎日新聞は、1933年4月に廃刊を余儀なくされました。このように、新聞の命運はそのバックにいる資本の影響を強く受けていることが明らかです。

まとめ

岩手毎日新聞は、地域社会に根ざした改革的な報道を行い、数多くの有名な文人と関わったことで知られていますが、最終的には外的な経済状況に影響されてその歴史を閉じることになりました。地方新聞の重要性と、地域の文化、政治に対する影響を再認識させる存在でもありました。

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