岩手県沿岸北部地震

岩手県沿岸北部地震の概要と特徴

2008年7月24日午前0時26分頃、岩手県沿岸北部で発生した地震は、地元メディアや機関から「岩手県中部地震」「岩手北部地震」「岩手地震」などとも呼ばれ、大変注目されました。この地震の最大震度は当初6強と報告されましたが、その後は6弱に訂正され、広範囲にわたり強い揺れが感知されました。特に、青森県八戸市や岩手県野田村で震度6弱が記録され、太平洋側では震度6弱から5弱、日本海側では震度4の揺れも確認されています。

地震の詳細

震源は約108kmの深さに位置しており、マグニチュードは6.8（暫定値）でした。広範囲にわたり震度3以上の揺れが報告され、震源の深さからP波とS波の到達差が生じ、長く揺れ続けるという特有の特徴が見られました。このような深発地震では、揺れの持続時間が長くなる傾向があります。

初期の小さな揺れが次第に大きくなり、震央付近では1分間もの間、長い揺れを感じたとの報告もあります。関東地方の高層ビルでも地震波の影響により2～3分の長時間の揺れが観測されました。

余震とその影響

地震発生後の余震は非常に少なく、本震発生から11時間後のM5.0の地震のみが記録されています。このことからも、震源の深い地震は一般的に余震回数が少ない傾向にあるとされ、今回もこの法則が適用されると考えられます。

地震のメカニズム

岩手県沿岸北部地震は、日本海溝から沈み込む太平洋プレートの内部で発生したと推測されています。タイプとしては海洋プレート内地震（スラブ内地震）に分類され、過去の釧路沖地震や芸予地震と同様の特徴を備えています。特に、この地震は正断層型で、東西方向の引っ張りによるものとされています。

被害状況

震災による被害は、死者1名、負傷者211名、全壊1棟、一部損壊379棟という結果が消防庁から発表されています。地震発生時が深夜だったため、一部では悲惨な被害情報が錯綜しましたが、最終的には実際の被害は非常に少なかったことが明らかになりました。

特に家具の転倒などは少なかったものの、避難時に転倒したりして負傷した事例が多く見られました。建物への被害が少なかった理由として、地震波の周期が短く、木造家屋に対しては強度が影響したという見方があります。また、事前の防災意識向上や堅牢な住宅の多さも要因として挙げられます。

地震計の問題

最大震度の変更があったのは、洋野町に設置された震度計の環境が整っていなかったことが影響しています。設置時に隙間が確認され、観測データに誤差が生じたため、最終的には震度6強は「不明」とされ、実際の最大震度は青森県八戸市などで記録された震度6弱となりました。

防災対策と今後の対応

気象庁は、地震発生後20秒以上経過してから緊急地震速報を発表しましたが、報道のタイムラグなどが見られたことも反省材料として指摘されています。緊急地震速報の体制を見直し、過去の地震予知の実績なども踏まえながら、防災に向けた対策が求められています。未来の発展のために、地震計の設置環境の見直しや、新たな技術の導入が期待されています。

もう一度検索