岩河三郎

岩河 三郎 (いわかわ さぶろう)

岩河三郎は1923年9月9日に富山県富山市で生まれ、2013年9月16日に亡くなった日本の作曲家です。彼は東京音楽学校（現在は東京藝術大学）声楽科を1947年に卒業し、その後は作曲家としての道を歩み始めます。平井康三郎や池内友次郎に師事し、合唱作品や吹奏楽作品において彼の名は広く知られるようになりました。

彼の音楽活動は合唱作品に特に顕著であり、数多くの曲が小学校や中学校の卒業式で歌われています。特に彼の『巣立ちの歌』は、1991年に別の名曲『旅立ちの日に』が作られるまで、最も人気のある卒業ソングの一つでした。1970年代後半にはNHKやTBSの合唱コンクールにおいて、彼の作品が多くの学校で自由曲として選ばれました。彼の作品は、主に旧来の和声や技法を用いたもので、子供向けの美しいメロディが特徴的です。

岩河の音楽には、富山県での思い出や地域の伝承が取り入れられており、例えば「むぎや」や「親しらず子しらず」といった作品があります。これらの曲は、自身の故郷を題材にしたもので、平家の落人の伝説や子供たちの悲劇をテーマにして、聴く者に深い感銘を与えています。彼の音楽は、故郷の歴史や文化に根ざした深い情熱を反映しています。

また、彼は合唱だけでなく吹奏楽の分野でも活躍しました。作曲家グループ「ニュー・エイトの会」の一員として、全日本吹奏楽コンクール向けに多くの作品を提供しました。吹奏楽においても高い評価を得ており、1968年には日本吹奏楽指導者協会第1回JBA作曲賞自由形式 作曲賞を受賞し、その後も多くの受賞歴があります。合唱曲や吹奏楽曲の他にも、いくつかの校歌が彼の手によって作られ、学校教育の現場において重要な役割を果たしています。

彼の作品が残した影響は大きく、多くの楽譜は富山市立図書館に収められ、整理されています。しかし一部の楽譜はすでに絶版となっているため、入手が難しくなっているのが現状です。特に教育機関で使用される楽譜は広く認知され、音楽の授業で取り入れられることが多いのです。

岩河三郎の音楽は、純粋なメロディと深いテーマ性によって、今なお多くの人々に愛されています。彼の作品は、音楽教育の一環としての重要な役割を果たし続けており、後世への伝承が期待されています。彼の作曲した楽曲は、合唱コンクールや音楽祭でしばしば演奏され、教育現場におけるクラシック音楽の普及にも貢献してきました。その音楽の歩みは、今も多くの若い音楽家たちに受け継がれています。

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