岩波キリスト教辞典

『岩波キリスト教辞典』は、2002年に岩波書店から出版されたキリスト教に関する包括的な辞典です。この辞典は、キリスト教の教義、歴史、文化、そして関連する広範な分野を網羅的に解説しており、読者にとって非常に価値のある情報源となっています。

特徴として、収録されている4500項目は、キリスト教そのものだけでなく、文学、美術、音楽、映画といった関連分野の用語、人物、作品にも及んでいます。この幅広い収録範囲は、キリスト教が社会や文化に与えた影響の大きさを物語っています。

各項目は、特定の教派に偏ることなく、多数の専門家によって執筆され、すべての項目に署名がされています。これにより、読者は信頼性の高い情報を得ることができます。また、編集者たちは、単なる知識の羅列ではなく、「知的好奇心を刺激する記述」や「21世紀以後の科学技術への一定のスタンス」を盛り込むことを意図しており、現代社会におけるキリスト教の意義を考察する上でも重要な示唆を与えてくれます。

編集者は、大貫隆、名取四郎、宮本久雄、百瀬文晃の4名です。彼らの専門知識と編集方針が、この辞典の質の高さと信頼性を保証しています。

判型は四六判で、総ページ数は1434ページと、非常に充実した内容です。巻末には、人名対照表、歴代指導者一覧、年表、地図、教会暦対照表、各教会の典礼色、美術表現におけるイエス・キリスト伝、聖堂建築図、各国語慣用表現、和文索引、欧文索引、漢字人名索引といった豊富な資料が付録として収録されており、辞典としての利便性を高めています。

この辞典は、学術的な評価も高く、鈴木範久や八木誠一といった研究者によって、学術雑誌に書評や論評が掲載されています。これらの評価は、『岩波キリスト教辞典』が単なる用語集ではなく、キリスト教研究における重要な参考文献であることを示しています。この辞典は、キリスト教に関心のあるすべての人々にとって、非常に役立つ一冊と言えるでしょう。

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