岩津松平家

岩津松平家の歴史

岩津松平家は、室町時代に愛知県の西三河地方および京畿に形成された松平氏の一大伝承系統です。この家系は、松平氏の嫡流とされ、特に重要な役割を果たしました。松平泰親が岩津城を本拠として建国を果たし、その後の歴史において大きな影響を与えました。岩津は古文書によって岩戸とも表記され、時代と共にその名称が変化していったことがうかがえます。

岩津松平家の起源

歴史書『三河物語』によると、松平氏の第2代である泰親は松平郷から出て、岩津の城を奪う形で自身の拠点としました。初代親氏の時代には、加茂郡林添に在住する藪田氏の残党が松平家に対し抵抗を続けましたが、泰親はこれを討伐し、岩津大膳の城を急襲して制圧しました。この戦いにより泰親は多くの領地を獲得し、その勢力を拡大しました。岩津城への進出は武力での奪取とも、購入によるものとも解釈されています。

岩津家の繁栄

泰親が築いた基盤の上で、子の信光が跡を継いだ後、岩津松平家はさらなる繁栄を迎えます。彼は室町幕府に仕官し、京都や近江国などにまで活動圏を広げました。このため、岩津松平家は三河国内での戦闘にも積極的に参戦し、有力武士としての地位を確立しました。特に、信光の時代には経済活動を活用し、領地を取得する形で家門の発展を遂げました。

信光が成し遂げた業績として、額田郡一揆の鎮圧などが挙げられ、これにより彼は武士としての認識を強めました。信光の子である親長は、伊勢氏に仕官していた期間の記録も残っており、岩津松平家の勢力の増大を支える一因となりました。しかし、この急成長は他の勢力からの反感を招くこととなり、激しい対立を引き起こしました。

明応の井田野合戦とその後

1493年10月、岩津松平家は中条氏による大規模な攻撃を受けることになりました。信光の子親長と兄乗元の不在中、安城家の親忠が戦況を指揮し、彼の奮闘によって中条勢を撃退しました。この戦いによって、松平氏は世代を超えて見事な戦果を上げ、名声を高めましたが、裏を返せばその後の攻撃を招く結果ともなりました。

その後、1508年の永正三河の乱では今川氏からの攻撃を受け、岩津松平家は著しい衰退を遂げました。今川氏による押し寄せる軍勢に対し、岩津家はその名声にもかかわらず深刻な危機に直面することとなります。岩津家の城は最終的に落城し、さらに後継者の親長も京都に留まることとなり、完全にその勢力を失うことになります。

後の展開

その後も岩津松平家は完全に消滅したわけではなく、松平信孝によって遺領が押領され、信長争いの中での生き残りが見られました。岩津松平家の一族は多くの庶家を生み出し、明治時代に名を残すまで続いていました。特に、伏見や安城で活動していた庶家は、後の歴史においても重要な役割を果たします。

彼らの家系の菩提寺は円福寺にあり、現在もその名を残しています。地域の歴史において、岩津松平家は重要な位置を占め続け、多くの人々に影響を与えました。彼らの歴史は、三河地方の歴史における貴重な一頁となっています。

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