伊勢氏

伊勢氏の歴史とその影響

伊勢氏（いせし）は、日本の氏族の一つで、桓武平氏の流れを受け継いでいます。彼らは特に室町時代から江戸時代にかけて重要な役割を果たし、その名は「伊勢礼法」として知られる武家の礼法に結びついています。伊勢氏の起源は、鎌倉時代末期にまで遡り、平正度の子・平季衡の系統にあたる平俊継が伊勢守に任じられたことが始まりとされています。

出自の詳細

伊勢氏は、少なくとも鎌倉時代末期には足利氏の近臣として活動していたことが確認されています。元徳2年（1330年）には、伊勢宗継が足利氏の上総国守護代として名を挙げており、このことからも伊勢氏の地位が伺えます。彼らの起源に関しては諸説あり、斎藤忠や太田亮が引用した資料によれば、伊勢国鈴鹿郡を拠点に中臣朝臣の一族が活動していたとされています。

政所執事としての地位

南北朝時代の天授5年/康暦元年（1379年）に、俊継の孫である伊勢貞継が足利幕府の政所執事に任命され、以降この位置を世襲することとなりました。貞継は主君の足利貞氏から偏諱を受け、以降の子孫は「貞」の字を通字として用いるようになります。特に、8代将軍足利義政の養育係を務めた伊勢貞親は、政治においても大きな影響力を持っていましたが、文正の政変で失脚しました。このように、伊勢氏は常に幕府の政治に深く関与し続けました。

戦国時代以降の展開

貞親の子、伊勢貞宗もまた9代将軍足利義尚の養育係として活躍し、山城守護に就任した伊勢貞陸は反乱を抑えるなど政務において重要な役割を果たしました。しかし、永正5年（1508年）の動乱では、貞忠が堺に出奔した足利義稙に従わず、12代将軍足利義晴に仕えました。江戸時代には、貞為の子伊勢貞衡が旗本として徳川家光に仕え、彼らの子孫は明治時代まで続くことになります。

備中伊勢氏と薩摩伊勢氏

伊勢氏の子孫にはいくつかの系統が存在し、備中伊勢氏は伊勢貞継の弟・盛経の系統と見なされています。また、薩摩の有川氏は伊勢平氏の流れを汲んで自らを伊勢氏と名乗るようになり、島津貴久に仕えるなど地域においても重要な家系となりました。

このように、伊勢氏は日本の歴史において様々な局面で重要な役割を担い、現在もその影響が見られる氏族の一つです。彼らの礼法や政治的影響力は、現在の日本の武士制度においても無視できないものとなっています。

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