岩浪洋三

岩浪洋三：日本のジャズ評論の巨星

岩浪洋三（1933年5月30日 - 2012年10月5日）は、日本のジャズ評論家として多大な足跡を残しました。尚美学園大学大学院芸術情報研究科・音楽表現専攻客員教授を務めるなど、教育者としても貢献しました。

生涯

愛媛県松山市に生まれた岩浪洋三は、愛媛県立松山東高等学校を経て松山商科大学（現・松山大学）を卒業しました。地元の労音事務局長代理を経て、1957年に上京し、『スイングジャーナル』の編集長に就任。この頃からジャズの世界に深く関わるようになります。

1965年からはフリーランスの音楽評論家として独立。ジャズやポピュラー音楽を中心に、雑誌や新聞への寄稿、テレビ・ラジオ出演など、幅広いメディアで活躍しました。また、日本ジャズ賞（スイングジャーナル主催）の選考委員長も務め、日本のジャズシーンを牽引しました。

教育者としては、東京芸術大学や桐朋学園大学で講師を務めた後、尚美学園大学大学院で客員教授に就任。武蔵野外語専門学校では、「ジャズと英語」といったユニークなテーマで講義を行うなど、独自の視点から音楽の魅力を伝えました。

2009年には、著書「これがジャズ史だ ―その嘘と真実」（朔北社、2008年）でミュージック・ペンクラブ賞を受賞。その評論家としての功績が高く評価されました。

ミュージック・ペンクラブ・ジャパン（1966年、「音楽執筆者協議会」として発足）の会長や、日本ポピュラー音楽学会の会員、早稲田大学オープン・カレッジの講師なども務め、多方面でその知識と情熱を注ぎました。

2012年10月5日、心不全のため逝去。79歳でした。

著作活動

岩浪洋三は、数多くの著作を通じてジャズの魅力を広めました。代表的な著書には以下のようなものがあります。

モダン・ジャズの世界（荒地出版社、1969年）
ぼく自身のためのジャズ（渡辺貞夫との共著、荒地出版社、1969年）
ジャズの前衛を求めて（荒地出版社、1970年）
マイルス・デイビスの世界（荒地出版社、1971年）
ジャズ・ヴォーカルへの招待（荒地出版社、1975年）
モダン・ジャズの系譜（荒地出版社、1977年）
モダン・ジャズ入門（荒地出版社、1978年）
渡辺貞夫読本（荒地出版社、1980年）
モダン・ジャズの名盤（東京白河書院、1980年）
ジャズの名演奏家たち（東京白河書院、1981年）
スウィング（浅井英雄との共著、荒地出版社、1981年）
日本のジャズメン（大陸書房、1982年）
アメリカ・ジャズ・ガイド（東京白河書院、1982年）

これらの著作は、ジャズの歴史やスタイル、演奏家、名盤などを網羅的に解説しており、ジャズファンにとっては貴重な資料となっています。

メディア出演

岩浪洋三は、テレビやラジオにも積極的に出演し、ジャズの普及に努めました。

テレビ出演

NHK『特集 東京JAZZプレイバック』（2004年9月4日）
テレビ東京系『開運!なんでも鑑定団』（2005年5月17日、同年7月3日、2007年1月9日）
テレビ東京系『ソロモン流』（2008年2月3日）

ラジオ出演

* ミュージックバード『ジャズ喫茶「MUSIC BIRD」（旧PCMジャズ喫茶）』レギュラー出演（2003年～2012年）

これらの番組を通じて、多くの人々にジャズの魅力を伝えました。

岩浪洋三は、日本のジャズ評論界において重要な役割を果たした人物です。彼の著作やメディア出演を通じて、ジャズは多くの人々に愛される音楽となりました。その功績は、これからも長く語り継がれることでしょう。

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