岩田孝

岩田孝の学術的プロフィール

岩田孝（いわた たかし、1944年生まれ）は、日本におけるインド哲学および仏教学の権威的な学者であり、早稲田大学の名誉教授です。また、早稲田大学仏教青年会の第9代会長を務めました。彼の学問的な業績は、特に仏教論理学と認識論において高く評価されています。

学歴と経歴

岩田氏は1944年に東京で生まれました。早稲田大学高等学院を卒業後、理工学部に進学し、物理学の理学修士号を取得しました。その後、彼は文学部の東洋哲学科に入学。さらに、文学研究科の東洋哲学専攻に進み、平川彰教授のもとで原始仏教および大乗仏教の研究を行いました。博士課程では、日本国内外の学術的な指導とサポートを受ける中で、ドイツのハンブルク大学に留学し、ランベルト・シュミットハウゼン教授に師事。そこで後期大乗仏教の認識論について研究を進め、哲学博士号を取得しました。

1970年代後半以降は、ウィーン大学のエルンスト・シュタインケルナー教授の指導のもとで法称の論理学的思想を掘り下げ、特に5世紀以降のインド大乗仏教における論理と認識論の学派の思想史的展開に焦点を当てています。彼は法称（Dharmakīrti）とその後継者である法上（Dharmottara）の論理学的思想を体系的に解明し、仏教論理学の新たな盤石を築き上げました。

著書と業績

著名な著作には、フランツ・シュタイナー版のディスカラシーである『サホパランバニヤマ』、および『知識論決択』の研究などがあり、これらは仏教哲学の分野に多大なる影響を与えました。また、彼は多くの共著や翻訳も手掛けています。特に彼の翻訳は、仏教学の重要な文献を日本語に普及させる上で重要な役割を果たしています。

彼の研究は、仏教論理学におけるさまざまな推論形式や、他者のための推論の定義に関する詳しい分析を含んでおり、特にパラーフタナウマーナ（parārthānumāna）や、その証明に関連する理論を解明しています。

学会活動

岩田氏はこれまでに多くの学会で発表を行い、国際的なダルマキールティ会議などに参加してその研究成果を発表してきました。また、学術雑誌に寄稿することで、インド哲学と仏教学の発展に寄与しています。

彼は研究における幅広い視野と、伝統的な文献への深い理解を持っており、今でも多くの学生や研究者に影響を与えています。岩田氏の業績は、仏教の論理的な解析や認識論を深める上で貢献しており、学問のさらなる発展に寄 与するものと考えられています。

結論

岩田孝は、日本の仏教研究の重要な担い手であり、彼の研究は現代における仏教哲学の理解を深める上で欠かせないものです。将来的な研究の方向性や新たな理論の構築においても、彼の足跡は続いていくことでしょう。

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