岩田慶治

岩田慶治：日本文化人類学の第一人者

経歴

岩田慶治（いわた けいじ）は1922年1月12日に神奈川県横浜市で生まれました。彼は旧制富山高校で地理学を学び、高校時代からその分野に強い興味を持っていました。1948年に京都大学文学部地理学科を卒業した後、卒業論文ではオーストラリアに住むアルンタ族の地域観に焦点を当てた研究を発表しました。

卒業後は、まず大阪市立大学の助教授となり、次いで東京工業大学の教授へ昇進。その後、国立民族学博物館に移り、1986年に定年退官するまで教授として活躍しました。退官後は名誉教授として教鞭を取り続け、最終的には大谷大学での教職を全うしました。彼は2013年2月17日に肺炎により91歳で逝去しました。

研究内容・業績

岩田の研究は主に東南アジア，特にタイやラオスに焦点が当てられています。戦後、日本における初の東南アジアフィールドワークを行った第一世代として知られています。現地の文化や生活に関する深い洞察を述べた著作は多く、日本文化との関連性を深く掘り下げたものです。彼は独自にアニミズム論を構築し、それに基づく広範な研究を展開しました。これらの研究成果は『岩田慶治著作集』全8巻にまとめられています。

彼の教え子には、関根康正（関西学院大学教授、第26期日本文化人類学学会会長）などがいます。岩田の教育方針や学問的影響は、彼の学生たちにも受け継がれています。

受賞・栄典

岩田はその業績により、数々の賞を受賞しています。1977年には『民族探検の旅』で毎日出版文化賞を受賞し、1993年には春に勲三等旭日中綬章に叙勲され、1999年には大同生命地域研究賞も受賞しました。また、2006年には南方熊楠賞を受賞しています。

主な著作

岩田の著作は非常に多岐にわたりますが、主な単著の中には『日本文化のふるさと：東南アジア稲作民族をたずねて』や『草木虫魚の人類学アニミズムの世界』などがあります。これらの著作を通じて、岩田は日本文化の根底にある要素を探求し、読者に対して豊かな文化的視点を提供しました。彼の著作は文化人類学における重要な参考文献となっています。

また、編著や共著としても多くの作品を残しており、特に子ども文化に関する研究やアジアの宇宙観に関する書籍においてもその影響を発揮しています。

研究評伝

近年、岩田の貢献について再評価が進んでおり、2023年には野間晴雄が彼の業績をまとめた研究評伝を発表しました。また、2022年には彼の著作を読み解く取り組みがなされ、今後ますます彼の学問が注目されることが期待されています。

• ---

地域研究や文化人類学の発展に貢献した岩田慶治の業績は、現在も多くの人々に影響を与え続けています。彼の研究手法や思想は、今後の学問においても重要な指針となることでしょう。

もう一度検索