岩田藤七

岩田 藤七（いわた とうしち）

岩田藤七は、1893年3月12日に東京・日本橋本町で誕生し、1980年8月23日に他界した著名なガラス工芸家です。幼名は東次郎であり、彼の創作活動は日本のガラス工芸の発展に大きく寄与しました。

幼少期と経歴の始まり

藤七は、宮内庁御用達の呉服商の家庭に生まれましたが、父親の死去を受けて二代目藤七を襲名しました。少年時代から芸術に興味を持ち、特に絵画に傾倒しました。1911年には、白馬会で岡田三郎助に師事して洋画を学ぶことになります。また、1912年からは東京美術学校に通い、彫金や漆芸を学びました。

ガラス工芸への転向

1918年に東京美術学校金工科を卒業した後、再度西洋画科に入学。その後、ガラス工芸に興味を持ち、著名なガラス作家・今村繁三から吹きガラス技術を習得しました。1929年には帝展無鑑査出品者となり、以後、帝展や日展へ毎年出品するようになります。特に彼の吹きガラス作品は、色ガラスや気泡を駆使した革新的なデザインが評価されました。

作品と活動の拡大

1930年に岩田硝子製作所を設立し、ガラス工芸の分野で数々の作品を発表しました。彼の作品は1960年代に入っても進化を続け、特に近代建築とのコラボレーションや新たな工芸の可能性を探求しました。1965年には「新しい工芸の茶会展」を開催し、ガラスを使った茶道具を出品、独自の新分野を開拓しました。

受賞と評論の高まり

岩田の作品は常に高く評価されており、1937年にはパリ万国工芸展で銀賞を受賞しました。また、1951年には「光りの美」で日本芸術院賞を受賞し、後に日本芸術院の会員として活動を続けました。さらに、彼の作品は米国のメトロポリタン美術館にも所蔵され、国際的な評価を得ることとなります。

最晩年の貢献

岩田は1970年に文化功労者に選ばれ、その生涯を通じてガラス工芸の地位向上に尽力しました。彼は1972年、名誉会員として日本ガラス工芸協会に加入し、以降もその活動は継続されました。晩年には「貝」をテーマにした作品を数多く発表し、自身のスタイルを確立して行きました。

追悼と評価

藤七は、1980年に東京都豊島区の日蓮宗威光山法明寺にて永眠しました。彼の業績は日本のガラス工芸に革新をもたらし、彼の作品は今も多くの人々に影響を与え続けています。その革新性と美しさは、彼が残した遺産の一部です。

彼の業績を称えられ、彼の伝記や作品集も多く出版されており、彼の影響を受けた多くの後進が今や活躍しています。岩田藤七は、まさに日本のガラス工芸の先駆者として、その名を刻み続ける存在です。

もう一度検索