岩田達七

日本の実業家。製靴会社であるマドラス株式会社の代表取締役社長を務める人物です。

経歴

1950年、愛知県にて、マドラスの元社長である岩田孝七氏の長男として誕生しました。慶應義塾大学経済学部を卒業後、1973年に当時の社名である亜細亜製靴株式会社に入社しました。1980年には同社の取締役に就任し、1984年には代表取締役に昇進。その後、2010年からは現職の代表取締役社長として、経営のトップを担っています。また、マドラスに関連する企業の代表取締役も兼務しています。弟の岩田栄七氏は、過去に岩田工機株式会社の代表取締役社長を務めたほか、マドラスの会長も務めました。

家族・親族

岩田達七氏の家系は、愛知県名古屋を中心に多岐にわたる事業を展開してきた歴史を持っています。

曽祖父・曽祖母

曽祖父は岩田屋の創業者である初代武七です。1847年5月1日に、中島郡東五城村で岩田弥左衛門氏の弟として生まれました。岩田家は酒造業を営んでおり、父は岩田武右エ門氏でした。比較的裕福な家系でしたが、次男であった初代武七は1873年2月に独立し、岩田屋を創業しました。進取の気性に富み、1908年にはイギリスから蒸気自動車を輸入し、名古屋初の乗り合いバス事業を開始しています。さらに1911年には、現在の犬山ガス株式会社の前身である犬山ガス会社を設立するなど、事業を多角的に展開しました。

曽祖母のすゑ氏は、1855年9月生まれで、岐阜県の尾関弥兵衛氏の三女にあたります。

祖父・祖母

祖父は亜細亜製靴株式会社の社長を務めた2代目武七です。1884年6月に初代武七とすゑ氏の長男として生まれました。1915年に家督を相続する際に、それまでの名前であった正治郎を改め、2代目として武七を襲名しました。岩田商店（現在の岩田工機株式会社）を法人化するとともに、1921年には現在のマドラス株式会社の源流となる亜細亜製靴株式会社を設立しました。他にも飛騨川温泉土地株式会社や日本地熱製塩株式会社の設立にも関与しています。事業家としての一方で、篤志家としても知られ、1923年には私財を投じて名古屋市立第三高等女学校（後に愛知県立第一高等学校と合併し、現在の愛知県立旭丘高等学校）の創設を支援しました。また、浄土真宗を信仰していました。

祖母のきた氏は、1892年12月生まれで、岐阜県の佐伯最三氏の妹にあたります。

父・他の親族

父である岩田孝七氏は、マドラスの元社長です。1916年2月に2代目武七ときた氏の間に生まれました。1937年に国立名古屋高等商業学校（現在の名古屋大学経済学部）を卒業後、すぐに家業に入り専務に就任しました。第二次世界大戦後、軍靴の生産から一般向けの民需製品へと事業の転換を図り、1947年には名古屋の栄に株式会社アジアを設立して直営店を開設しました。1965年には、イタリアの世界的な高級靴メーカーであるマドラス社と技術提携を結び、事業を拡大。そして1983年には、イタリアのマドラス社からマドラスブランドの全世界での製造・販売権を取得し、社名をマドラス株式会社に変更するという、現在のマドラスの基盤を築きました。孝七氏の次女である恭子氏は、アイティーオーの元専務である伊藤己紀雄氏に嫁いでいます。

岩田達七氏には、岩田工機株式会社の元代表取締役社長である栄七氏という弟がいます。

父孝七氏の兄にあたる伯父の正作氏は、1914年11月生まれで、岩田工機の元社長や亜細亜製靴の監査役を務めました。伯母の美恵子氏は1917年7月生まれで、直井修三氏の次女であり、高山高等女学校（現在の岐阜県立高山高等学校）出身です。

父孝七氏の弟にあたる叔父の誠三氏は、1918年11月生まれで、慶應義塾大学経済学部を卒業しています。国際鳩連盟の理事を務めたほか、マドラスの元社長でもありました。誠三氏の長女和子氏は能楽師の梅若六郎 (56世)氏と結婚し、次女英子氏はサントリーホールディングスの代表取締役会長である佐治信忠氏に嫁いでおり、著名な家系との縁戚関係を結んでいます。

さらに、岩田家はカネヨの元社長である服部英一氏を義弟に持ちます。服部氏の義兄が、名古屋鉄道の副社長を務めた神野三男氏（中部瓦斯の初代社長である神野三郎氏の三男）であることから、名古屋を代表する資産家である神野家とも閨閥関係にあることが知られています。

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