梅若六郎 (56世)

五十六世 梅若 六郎について

五十六世梅若六郎（1948年生）は、日本の伝統芸能である能楽を代表するシテ方の能楽師です。彼は観世流に属し、重要無形文化財保持者（人間国宝）としても知られています。彼の芸術的な活動は、数多くの新作能の初演を含むものとしても高く評価されています。1988年には五十六世梅若六郎を襲名し、その後も精力的に能楽の振興に寄与してきました。

生涯と経歴

梅若六郎の本名は梅若善政で、五十五世梅若六郎の次男として京都で生まれました。彼の家系は梅若家として知られ、祖父は二代梅若実、曽祖父は初代梅若実であります。3歳で初舞台を踏み、6歳で初シテを務めた彼は、父や祖父に師事しながら成長しました。1979年には観世流梅若六郎家の当主を継承し、以来、様々な舞台で活躍を続けています。

1988年の襲名以降、梅若六郎は多くの舞台に出演し、能楽協会の常務理事や財団法人梅若会の理事長を務めるなど、能楽界でのリーダーシップを発揮しています。彼の作品は、観客に新しい感動を与えており、新作能への取り組みも非常に意欲的です。特に、台湾の作家瀬戸内寂聴原作の『夢浮橋』や、美内すずえの『紅天女』など、現代的な要素を取り入れた作品の初演を行っています。

受賞歴

梅若六郎はその活動の中で、数多くの賞を受賞しています。1979年には芸術祭優秀賞、1987年には芸術選奨文部大臣賞を受賞。1996年には観世寿夫記念法政大学能楽賞を受賞し、1999年には読売演劇大賞優秀賞と芸術院賞を受けました。2006年には紫綬褒章を受章し、2007年には日本芸術院の会員に選ばれています。2014年には人間国宝の資格を持ち、2018年には四代梅若実を襲名し、ますますその名声を高めています。

プライベート

梅若六郎は八世藤間勘十郎という息子を持つ父でもあります。妻の梅若和子はマドラスの創業者一族の出身で、慶應義塾大学から英国ケンブリッジ大学に留学した経歴を持つ才女です。彼女は梅若インターナショナルの代表として、また日本伝統文化交流協会の会長として、伝統文化の普及に努めています。

逸話と影響

梅若家の祖先は橘諸兄であるとの言い伝えがあります。また、もともと「梅津」の姓であったが、家業の多様化に伴い「若」の文字を天皇から賜った経緯があります。彼が特に影響を受けた人物としては、観世寿夫が挙げられており、彼の作品においてもその影響が見られます。新作能「一石仙人」など、他ジャンルとのコラボレーションも試みており、オリヴィエ・メシアンのオルガン曲を使用した公演も行っています。

著書

梅若六郎はまた、著作活動も行っており、2003年には『まことの花』という書籍を世界文化社から出版しています。このような多才な活動を通じて、伝統文化の伝承と発展に寄与しています。

もう一度検索