岩見香枝

岩見 香枝（いわみ かえ）は、1993年2月11日に静岡県沼津市で生まれた、日本の元女子プロ野球選手であり、現在は指導者として活躍している人物である。現役引退後は、埼玉西武ライオンズ・レディースのコーチを務める傍ら、高校の教員として後進の育成にも携わり、女子野球部の監督も兼務している。

幼少期からプロ入りまで

野球との出会いは幼少期に遡る。地元の野球チームである原イーストジュニアでプレーを始め、その後伊豆市リトルシニアへと進んだ。中学卒業後、高校は埼玉栄高等学校に進学し、同校の女子野球部で選手として技術と精神を磨いた。高校時代に培った経験が、その後の野球人生の礎となる。

女子プロ野球リーグでのキャリア

高校卒業後、プロの世界を目指す。2015年に日本女子プロ野球リーグの埼玉アストライアに入団し、プロ選手としての第一歩を踏み出した。同年シーズン途中には京都フローラへ移籍し、異なる環境でプレー経験を積んだ。2017年には再び埼玉アストライアへ戻り、2シーズンにわたりチームに貢献した。2019年には愛知ディオーネに移籍したが、同年11月1日、そのシーズン限りで女子プロ野球リーグを離れることが公に発表された。プロリーグでは、主に外野手として活躍し、特にその卓越した守備力、数々のファインプレーでファンを魅了した。

プロリーグ退団後の活動

女子プロ野球リーグを離れた後も、岩見香枝の野球への情熱は衰えることはなかった。2020年、社会人野球クラブチームである埼玉西武ライオンズ・レディースに新たな活躍の場を求めた。同時期に、静岡県にある静清高等学校に保健体育科の教員として着任し、教育者としての新たなキャリアを開始した。野球選手としてだけでなく、教育者としても未来を担う若者の育成に力を注ぐことになる。2022年には、静清高等学校に新設された女子野球部の初代監督に就任。自らの経験を活かし、チームの立ち上げから指導までを担い、監督としての手腕を発揮している。

日本代表での活躍と現役引退

選手としての活動を続ける中で、岩見香枝は日本代表としても選出され、国際舞台で活躍する機会を得た。2023年には第3回BFA女子野球アジアカップに出場。さらに、2023年から2024年にかけて開催された第9回WBSC女子野球ワールドカップでは、侍ジャパン女子代表の一員として、日本の大会7連覇という歴史的偉業に大きく貢献した。世界最高峰の舞台での経験は、選手としても指導者としても貴重な財産となった。

長年にわたり選手として高みを目指してきたが、2024年シーズンをもって現役生活に区切りをつけることを決断した。引退の背景には、2024年5月に負傷した右肘の状態があった。怪我からの回復後も、以前のような万全な感覚が完全には戻らないと感じたことが、引退を考える契機となったという。選手として最後まで全力を尽くした末の決断であった。現役引退後は、2025年シーズンより所属チームである埼玉西武ライオンズ・レディースのコーチに就任。選手時代に背負った背番号「33」は、コーチとしても引き続き使用されることになった。

人物

岩見香枝は、野球に対する真摯な姿勢と努力で知られている。特に守備への意識が高く、プロ野球・広島東洋カープの内野手である菊池涼介選手との交流があることでも知られている。女子プロ野球選手時代から、守備の名手として知られる菊池選手の自主トレーニングに共に参加するなど、ポジションは異なるものの、守備技術の向上を目指し、互いに刺激を与え合う関係を築いている。

主な記録

プロ野球での主な記録として、以下が挙げられる。

• - 初出場：2015年4月4日、対兵庫ディオーネ戦に6回裏、中堅手として出場。
• - 初安打：2015年4月12日、対京都フローラ戦で、7回裏に相手投手の植村美奈子から遊撃内野安打を記録。

背番号

現役時代に背負った背番号は所属チームや代表によって異なる。

• - 女子プロ野球リーグ（埼玉アストライア、京都フローラ、愛知ディオーネ）：10（2015年 - 2018年）、2（2019年）
• - 埼玉西武ライオンズ・レディース（選手）：33（2020年 - 2024年）
• - 野球日本代表：4（2023年 - 2024年）
• - 埼玉西武ライオンズ・レディース（コーチ）：33（2025年 - ）

岩見香枝は、選手として、また指導者として、日本の女子野球界に貢献し続けている。

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