岩谷徹 (ゲームクリエイター)

岩谷徹：ゲーム史に名を刻んだクリエイターの軌跡

岩谷徹氏は、1955年東京都目黒区生まれの日本のゲームクリエイターです。世界中で愛されるアーケードゲーム『パックマン』の生みの親として広く知られていますが、その経歴は多彩で、教育者としての活動や数々の受賞歴など、多方面にわたる活躍が注目されています。

幼少期と教育

3人兄弟の末っ子として生まれた岩谷氏は、NHK職員だった父親の転勤に伴い、幼少期を東京都目黒区、秋田市、岩手県盛岡市、宮城県仙台市と各地で過ごしました。野山を駆け巡る自由な日々の中で、肥溜めに落ちたりかまくらを作ったりといった体験が、後のゲームデザインに影響を与えたと語られています。目黒区立第九中学校時代にはピンボールに出会い、これがゲームクリエイターとしての道を歩むきっかけとなりました。その後、東京都立大学附属高等学校を経て東海大学工学部通信工学科を卒業しています。

ナムコ時代と『パックマン』の大成功

1977年、岩谷氏はナムコ（後のバンダイナムコエンターテインメント）に入社。ピンボールゲームの開発を志望していましたが、当時のナムコは特許問題を抱えており、ピンボール製作は困難でした。そのため、入社当初はアタリ社の基板修理や知的財産権管理などを担当していました。

1978年からビデオゲーム開発に携わるようになり、長年の構想だったピンボールとブロック崩しの要素を融合させた『ジービー』を開発。国内で1万台以上の出荷を達成し、ナムコのビデオゲーム事業本格参入の足掛かりを作りました。しかし、『スペースインベーダー』のブームには太刀打ちできませんでした。その後、『ボムビー』や『キューティQ』のデザインを経て、1980年にはチームを結成し、『パックマン』の開発に着手します。

日本では予想ほどのヒットにはなりませんでしたが、北米でのリリースは空前の大成功を収め、「パックマンフィーバー」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。テレビアニメ化やディスコミュージックの制作なども行われ、『パックマン』は「80年代のミッキーマウス」と称されるほどの人気となりました。世界的な大ヒットにより、岩谷氏は莫大な利益と名声を得て、コンピュータゲームの歴史に名を刻みました。2010年には『パックマン』30周年を記念して、岩谷氏自身も開発者としてギネス認定されました。

プロデューサーとしての活躍と教育活動

『リブルラブル』(1983年)の企画・プロデュース以降は、プロデューサーとして『ドラゴンバスター』、『源平討魔伝』、『リッジレーサー』など、多くのヒット作を生み出しました。

2003年にはCEDECで講師を務め、2005年から大阪芸術大学客員教授、2010年から東京工芸大学教授として後進の育成に尽力しました。東京工芸大学では、社会貢献にも繋がるシリアスゲームの開発にも携わり、筋力トレーニングマシンや筋力トレーニングロボットの開発で表彰を受けるなど、教育と研究の両面で成果を上げています。

審査員・アドバイザーとしての活動と受賞歴

文化庁メディア芸術祭の審査員やアドバイザー、芸術選奨の推薦委員なども歴任し、日本のゲーム業界の発展に貢献しました。2015年には全身ディスプレイ型「ゲーミング・スーツ」を発表するなど、常に新しい表現に挑戦し続けています。

『パックマン』の功績は高く評価され、CEDEC AWARDS特別賞（2015年）、日本デジタルゲーム学会学会賞（2018年）など、数々の賞を受賞しています。2015年公開の映画『ピクセル』では、架空の岩谷徹役として俳優が演じられた他、本人もカメオ出演しています。

まとめ

岩谷徹氏は、ゲームクリエイターとしてだけでなく、教育者、研究者として、日本のゲーム業界に多大な貢献を果たしました。『パックマン』という世界的なヒット作を生み出しただけでなく、後進の育成にも力を注ぎ、日本のゲーム文化の発展に大きく寄与したと言えるでしょう。彼の功績は、これからもゲーム業界に影響を与え続けることでしょう。

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